導入事例

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八代製薬株式会社様

業種:製造業

部署:全社

利用用途:情報共有・業務管理基盤

使用製品:krewSheet / krewData

八代製薬株式会社様 メインビジュアル

事例公開日:2024年1月18日
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

会計処理から在庫管理、各種申請までバックオフィス業務を全てkintone化
kintone展開に不可欠な存在となった、Excelのお手本となるkrewシリーズ

医薬品の原料を製造・開発する事業を展開している八代製薬株式会社では、在宅勤務など新たな働き方への移行が急務となるなか、紙やExcelを中心とした業務フローから脱却し、kintoneをプラットフォームとして業務基盤を整備し円滑に情報共有できる環境づくりを進めており、krewSheetおよびkrewDataが広く活用されている。その経緯について、総務部 喜田 晃大氏にお話を伺った。

【課題】新たな働き方に欠かせない情報共有基盤の整備に注目したkintone

1958年に大阪で創業、医薬品の原料を製造・開発する事業を展開している八代製薬株式会社。一般消費者に直接販売するのではなく、薬品の元になる原薬を加工して製薬会社に提供しており、顧客の多くはジェネリック系のメーカーだ。身体の不調となる諸症状を改善し、人生をより楽しく進んでいくための環境づくりに向けて、安心、安全な医薬品原薬を提供している。

もともと同社では、受注や売上、在庫など各種情報管理には紙やExcelを中心としたオフィスツールを用いた情報共有が行われていた。そんな折、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって状況は大きく様変わりし、在宅勤務をはじめとした新たな働き方への対応が求められることに。そこで、業務において必要となる各種情報を円滑に共有できるよう、クラウドサービスを中心とした業務基盤の整備を進めることになったのだ。

課題概念図

クラウド上で情報共有できる基盤を調査するなかで、当初注目したのはファイル管理やスケジュール共有をシンプルに行えるサイボウズオフィスだったが、喜田氏はファイルによる情報の共有ではなくデータそのものを共有できる環境を求めたという。そこで着目したのがkintoneだった。

「データ共有できる環境はもちろん、入荷や在庫など自社の業務管理方法に合わせたアプリを一から自分で作成できるプラットフォームなら、使いやすいシステムを開発できるだろうなと思い、kintoneに興味が湧いたのです」と喜田氏は当時を振り返る。

総務部 喜田 晃大様
喜田 晃大様
総務部

【選定】集計業務に必要な、基本機能を補うプラグインとしてのkrewシリーズを高く評価

現場部門でも業務アプリを開発できるというkintoneに興味を持った喜田氏は、トライアルで使い勝手を試してみるとアプリ開発と運用のイメージを掴むことができたという。しかし、kintoneの試用期間中にデータ共有のために売上や在庫データの集計をしようとしたところ、基本機能では不十分なところがあった。

「Excelで管理していたときは、入荷管理のシートと出荷管理のシートをあわせて在庫表を作っていたのですが、こういった集計がkintoneの基本機能だけでは難しかったのです。インターネットで “kintone 集計” “kintone 在庫表” “kintone Excel”などのキーワードで解決策を調べました」と喜田氏。そこで発見したのが、メシウスが提供するkrewシリーズだった。

複数のアプリからデータを集計できるkrewDataであれば、イメージ通りの動作ができそうだと感じたのです。あと、1件ずつレコードを開いてデータを入力するkintone標準のアプローチでは、現場に負担がかかってしまうことも課題になると感じ、同時に見つけたkrewSheetも我々の役に立つプラグインとして導入を決断したのです」と喜田︎氏。

krewDataとkrewSheetにより、kintoneでデータを共有しながらアプリをまたいだ集計を実現し、Excelのような入力操作で現場の作業負担を軽減できることで、求めていた情報共有の環境を実現できるという手応えを得られたと喜田氏は導入ポイントについて語る。

特にkrewDataについては、データ集計フローを作成する際の使い勝手を高く評価しているとのこと。

GUIでコマンドアイコンを並べて繋げるだけでデータを編集できる仕組みがとても面白いです。プロセスごとにフローが正しく実行されているかどうかプレビューで都度確認できるので、非常にわかりやすくITの専門家ではない人にとても優しい仕組みだと評価しています。また、フローにはコメントを残すこともできるので、運用後に業務の流れに変更が生じた時など、どのような処理を行っていたのかがすぐに分かりフローを修正する際に参考になります」

こうして、在宅勤務でも事業が継続できる情報共有及び業務のプラットフォームとしてkintoneが採用され、アプリ間の集計やExcelライクなインターフェースで入力作業が簡便になるkrewシリーズが選ばれたのだ。

【効果】全てのバックオフィス業務をkintoneおよびkrewシリーズで集約

■ 入出荷から売上管理、労務管理、販売管理、会計など社内kintone化が進展

現在は、事務所勤務のメンバー全員と製造現場用のアカウント合わせて11ほどがkintoneを活用しており、アプリは試しに作成したものも含めて750ほど作成、実際に運用に載せているのが150ほど。アプリ作成権限は制限していないが、実質的には喜田氏が中心となって開発している状況だ。

アプリの種類は、商品や取引先、仕訳など各種マスターアプリとともに、売上管理や仕入・在庫管理などの業務管理アプリ、勤怠管理や弁当管理などの労務管理アプリ、売掛管理や支払管理など販売管理アプリ、振替伝票などの会計アプリといった、各種業務で利用する豊富なアプリが用意されている。喜田氏が管轄するバックオフィス系の業務の多くはkintoneで実装されており、法令対応のためにパッケージが有効な財務会計など基幹システムへの入力インターフェースとしてもkintone活用が進んでいる状況だ。

kintoneのポータル画面上には、入出荷業務に携わるメンバーが作業量を把握しやすいよう入出荷日や納入場所、数量などのデータが常に表示されている。また、テレワーク時の作業報告や日直宿直・早出残業に関連した日報・報告書アプリ、売上・仕入・出荷・在庫管理に利用される各種アプリへのリンクが用意されている。さらに、製造や品質管理のために、製造スケジュールやサンプル出荷管理用のアプリ、総務・経理部門向けには弁当発注アプリなども備わっている。他にも、製造会社と販売会社それぞれ分かれている会計システムを連動させるためのアプリや、出張旅費申請をはじめとした各種申請用アプリも運用されていて、各部門の担当者がポータルアプリから自身の業務に必要なアプリにスムーズにアクセスできるように整頓されている。

krewSheetは、主に多くのデータを入力、更新するようなアプリに使われているが、最近ではXrossモードを活用して、売上金額を指標別に集計する用途でも活用しているという。具体的には、各担当者が定期的に売上管理アプリに売上金額を入力。入力されたデータをkrewSheetのXrossモード商品別、取引先別、出荷先別に集計することで、Excelのピボットテーブルのような集計表の形式で売上情報を可視化している。もともとは、krewDataのスケジュール実行で指標別の集計を行っていたが、Xrossモードを利用することで、より手軽に集計結果を表示できるようになったとのこと。krewSheetは他にも、製造後の入庫伝票アプリなど、一覧上での視認とチェックを行うアプリやマスター系アプリでは必須となっている状況だ。

▲	Xrossモードで売上管理アプリのデータを指標別に集計
▲ Xrossモードで売上管理アプリのデータを指標別に集計

krewDataについては、例えば製品の入庫処理で、入庫アプリに数量を入力すると、もともと在庫表にある数量と新たに入庫した数量を合算して、最新の在庫表を作成するといったシンプルな使い方の一方で、PCAの会計システムに会計用の仕訳データを作成するというかなり複雑な集計・集約フローも組まれている。

売上はPCAの販売管理システム、仕入は経費精算、入出金管理は個別のソリューションなど、複数ツールで管理していくことは避けたかったため、全てkintoneに情報を集約し、売上データから仕訳データまで一気に作り上げるフローをkrewDataにて構築しています」と喜田氏。銀行口座との入出金データ連携も直接行っている状況で、仕訳データは最終的に会計システムと連携する形となっている。なお、krewDataで作成しているデータフローは100を超える規模となっており、多くの場面で活用されている。

効果概念図
▲	仕訳データを作成するkrewDataのデータ編集フロー
▲ 仕訳データを作成するkrewDataのデータ編集フロー
■ 新たな働き方への対応を実現、残業時間をなくしリスキリングの時間確保も

今回kintoneおよびkrewシリーズで業務基盤を整備したことで、緊急事態宣言が発令された際にスムーズに在宅勤務に移行できただけでなく、デジタル化による業務の効率化によって残業時間がゼロになり、時間内の経理業務に充てる時間も大きく削減。情報収集やリスキリングのための学びに時間が割けるようになったと評価する。

「もともと受注管理はノートに手書きで行っており、在庫表も紙でしたが、今は紙での運用がなくなりペーパーレスにも貢献しています」。システムに何度も転記する必要がなくなるなど、入力ミスの回避といったリスク軽減にも役立っている状況だ。

krewシリーズについては、喜田氏にとって欠かせないものになっている。「kintoneで業務環境が整備できたのも、krewDataやkrewSheetがあったから。もし、krewシリーズがなかったらここまでの規模にはなっていないはず」と高く評価する。会計システムに投入するための仕訳データ作成など会計周りの処理もkrewDataを使う前提で構築されており、krewDataがなければ作成できていないと喜田氏。

さらに、その使い勝手についても「krewDataは簡単なフローがすぐに作れるのですが、使っていくうちに業務ロジックのアイデアが浮かび、あれもこれも入れたいという欲が出てきてしまう。フローが可視化できているため、この処理はつなげられそうだとか、効率よくできそうだとか作っていて楽しいです」と表現する。

メシウスのサポートや学習コンテンツへの評価については、「サポートに問い合わせることもあるのですが、レスポンスよく回答いただけていますし、学びのためのドリルも参考になります。それから、krewのユーザー会(Ship)にも参加しましたが、ユーザー同士がkrewとkintoneについて情報交換ができる良い学びの場だったと感謝しています。」と喜田氏は評価する。

■ 管理会計の充実や営業プロセスのシステム化など、新たな領域への展開も

すでに売上入力から仕訳データの生成まで一気通貫で動かせるアプリを作成しており、各種申請系のアプリも数多く用意されていることから、バックオフィス業務はほぼkintoneおよびkrewシリーズで実装できている状況にあり、「このまま行くと会計ソフトそのものまで作り込んでしまう勢いです」と語るほど。新たな試みとしては、管理会計の充実や売上シミュレーションなどの環境づくりは検討する可能性もあるという。決算関係で必要な明細データも作っていく見込みだという。

その一方で、顧客とのやり取りにFAXが残っているなど、営業プロセスのシステム化については手がつけられていない部分も。売上情報からのkintone化は進んでいるが、商談管理など営業支援系の仕組みづくりはこれからだ。「営業側のニーズ次第ですが、個人的にはFAX周りのやり取りをうまく電子化していけるようなことにチャレンジしたい」と喜田氏。

現状はkrewDashboardを使った情報の可視化やBI的な分析ニーズは顕在化していないが、詳細画面に可視化しやすいグラフを表示する必要性が出てくる可能性があるため、そのニーズが高まれば検討したいと今後について語っていただいた。