導入事例

横河レンタ・リース株式会社様ロゴ

横河レンタ・リース株式会社様

業種:卸売業・小売業

部署:その他部署

利用用途:案件管理

使用製品:krewSheet/krewData/krewDashboard

横河レンタ・リース株式会社様 メインビジュアル

事例公開日:2022年7月6日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

kintoneアプリ内の情報集計および可視化を柔軟かつ負担なく実現。
「採算の状況が一目で分かる案件管理」を強力に支援するkrewシリーズ

レンタル事業とシステム事業を二本の柱に展開している横河レンタ・リース株式会社では、Excelにて実施してきた作業工数や採算管理などを行う案件管理業務を刷新し、業務基盤として導入していたkintoneを活用、蓄積された情報を可視化するための仕組みとしてkrewDashboardおよびkrewDataを情報のメンテナンスのためにkrewSheetを活用している。その経緯について、情報システム本部 システム開発運用部 部長 田端 義典氏および同部 第二課 課長 清水 健太郎氏、開発を担当したコムチュア株式会社 コラボレーション本部の齋藤 康大氏にお話を伺った。

【課題】Excelによって行われてきた採算管理含めた案件管理の刷新が必要に

横河電機と芙蓉総合リースが出資する合弁会社として1987年に発足、創業以来30年以上にわたりPCや計測器などのデバイスを中心にレンタルサービス事業を展開している横河レンタ・リース株式会社。

市場において「モノ(所有)からコト(利用)へ」と資産の考え方が多く転換するなか、設備や機器を必要なときにレンタル可能な同社のビジネスは多くの企業から支持されるなど、事業拡大を続けている。

「マルチベンダとして800社を超えるメーカーの商材を取り揃え、100万台を超えるレンタル在庫数を保有することで、お客さまのニーズに合致した機器を提供しています」と語るのは田端氏だ。特に最近は、レンタル事業だけでなく、IT機器に関わる情報提供や運用管理サービスといったシステム事業に力を入れているという。顧客がレンタルしたパソコンに対しての運用サポートやキッティング支援により顧客企業の情報システム部門の人手不足や生産性向上といった「コト」の充実をビジネスに取り入れている。

横河レンタ・リース株式会社 情報システム本部 システム開発運用部 部長 田端 義典様
田端 義典様
情報システム本部 システム開発運用部 部長

そんな同社では現在、基幹システムのクラウド移行など全社的な基盤整備を進めており、クラウドシフトを鮮明に打ち出している。環境整備を進める過程で課題として顕在化してきたのが、システム事業において行われていたExcelによる案件管理だった。

「システム事業部では、もともとExcelを使って作業工数や採算管理といった案件に関する情報を管理しており、月末にはその情報を手作業にて集計し、報告を行っていました。この集計作業に多くの手間と時間がかかっており、手作業によって編集ミスなどのリスクも顕在化していたのです」と清水氏は当時の状況を語る。具体的には、案件ごとにExcelファイルを作成して必要事項を入力し、月末に集約してグラフを含んだ報告用のExcelファイルを作っていた。複数の受注を1案件として管理するときなど、手動でデータをマージすることもあり、大変な手間がかかっていたという。

そんな折、AS/400上で稼働していたレガシー基幹システムをMicrosoft Dynamics 365へ刷新するタイミングを迎えることになった。顧客管理をはじめ、受注情報や請求管理といった基幹業務の置き換えに加え、システム事業部がExcelで行ってきた案件管理の仕組みもDaynamics365に取り込むことになったのだが、実際の業務に合わせた作り込みの部分で課題が発生した。

「Excelでの作業工数の入力やそれを基にした採算管理のための集計、グラフ作成に慣れていた現場のユーザから求められる使い勝手をDynamics 365で実装することが難しく、また、コストや開発期間もかかってしまうと考えたのです。」と清水氏。
こうして、Dynamics 365と連携する案件管理用の新たなプラットフォームを検討することになったのだ。

横河レンタ・リース株式会社 情報システム本部 システム開発運用部 第二課 課長 清水 健太郎様
清水 健太郎様
情報システム本部 システム開発運用部 第二課 課長
案件ごとにExcelファイルを作成し工数を管理し月末に手作業で集約・集計
▲ 案件ごとにExcelファイルを作成し工数を管理し月末に手作業で集約・集計

【選定】現場に広がっていたkintoneを活用、可視化するために必要だったkrewシリーズ

そこで検討したのが、3年ほど前に別の業務基盤として導入していたサイボウズのkintoneを活用することだった。「現場のユーザに画面を見せながらアジャイル的な開発が可能なkintoneであれば、実業務にフィットした案件管理の仕組みを負担なく実装できると考えたのです。すでに、ユーザ部門でkintoneアプリを開発している状況も手伝って、現場にも展開しやすいと判断しました」と清水氏。

ただし、Excelをベースに運用してきた仕組みだけに、グラフや表など従来のイメージをできる限り残した形で移行できる環境がどうしても必要だった。そこで注目したのが、グレープシティが提供するkrewシリーズだ。

「kintoneのデータをExcelのように簡単にグラフ化できるものがないか検討したところ、krewDashboardに出会ったのです。アプリ内の情報を集約、加工するプラグインとしてkrewDataと組み合わせれば、これまでのようなグラフで可視化できると考えました」と清水氏。実際にサンプルを作成して現場に展開したところ評判も良く、案件管理として十分使えると判断した。

その後、kintone内に作業工数などの情報が蓄積した段階で、業務管理者が月次チェックを行う際に、一覧画面でデータを確認・メンテナンスしやすい仕組みが求められ、レコード単位で画面を開かずとも一括編集できるkrewSheetを導入。kintoneプラグインについて清水氏は、「業務フローの変更などで、ユーザ部門もkintoneに手を加えることもあるため、基本的にはJavaScriptを駆使して開発することは極力避けていきたいと考えていました。ユーザ側でも使えるようなプラグインを用意して提供することを前提に、krewシリーズのようなプラグインを利用していく方針だったのです」と清水氏。

結果として、Excelで行っていた案件管理をkintoneに移行し、報告のための表づくりやアプリ間のデータ集計、そしてデータメンテナンスのツールとして、krewシリーズが活用されることになったのだ。

【効果】案件ごとの採算を可視化するために重要な役割を果たすkrewシリーズ

■ 工数集計に役立つkrewData、採算の状況が一目で分かるkrewDashboard

krewDataで作成しているフローは、案件に関する採算管理時の集計や案件ごとの予実工数情報、案件以外も含めた稼働・非稼働工数を集計する主に3つ。取引先や受注データを管理している基幹システムのMicrosoft Dynamics 365とのデータ連携も柔軟に行われている状況だ。

今回フォーカスした案件管理については、基幹システムであるMicrosoft Dynamics 365内の受注データをkintoneに取込み、受注データが反映された受注DBアプリに基づいてエンジニアの担当振り分けや作業内容、保守が必要なインフラ関連の情報管理などが行われている。担当エンジニアへの作業指示はもちろん、外部への発注依頼や請求処理などを行う作業依頼スペースを運用している。

また、受注DB内の情報を活用して案件情報マスタが作成され、詳細なスケジュールを含めた計画工数および実績工数の管理を行う工数管理スペースを用意することで、案件ごとの採算管理が行われている。この採算管理で得られた情報をkrewDataで集計、krewDashboardでグラフ化しており、案件管理者が計画と実績工数の情報をkrewSheetで確認しながらチェック、変更があれば修正を行っている。

▲	基幹システムと連携する工数管理と採算管理をkintoneとkrewシリーズで実現
▲ 基幹システムと連携する工数管理と採算管理をkintoneとkrewシリーズで実現

「krewSheetについては、一覧画面で編集したいという管理者の要望があればその都度適用しており、活用の幅が広がってきています」と清水氏。なお、実績工数などの情報に関しては基幹システム側に戻す処理も行われており、基幹システム側で持つ単価などの金額情報と合わせることで、費用に関連した管理は全て基幹システム側で行っているという。

krewSheetを適用した一覧画面(上:計画工数、下:実績工数)
実績工数入力画面
▲ krewSheetを適用した一覧画面(上:計画工数、下:実績工数)
krewDataにより計画と実績を集計し、krewDashboardで採算を視覚化
▲ krewDataにより計画と実績を集計し、krewDashboardで採算を視覚化

さらに、営業担当者が見積作成に必要なエンジニアの工数や外注費用などの見積を依頼する見積支援依頼スペースも用意されている。

「エンジニアだけでなく、営業部門の工数なども入力して状況を把握したいなど、それぞれの部門で確認したい集計が異なっています。そこでエンジニアの工数管理同様、各種工数を入力するアプリの情報をkrewDataで集計、krewDashboardで見える化しています」と清水氏は説明する。

■ 日々案件の状況が把握でき、担当できる案件数が広がるなど効果を実感

基幹システムと連携した案件管理をkintoneおよびkrewシリーズで整備したことで、担当者ごとに日々の作業状況が適切に把握でき、マネージャにとっては月次報告だけでなく日々状況がチェックできるようになったと田端氏は高く評価する。

「採算管理でいえば、計画数字との差異が大きければ異なる文字色で表示され、すぐに担当者が把握できるようになりました。以前はExcelで確認していましたが、今はkrewDashboardを見るだけで状況が可視化でき、お客さまに対するやり取りもスムーズになっています」。

状況が把握しやすくなったことで、担当者一人あたりが対応できる案件数が増えるなど、ビジネス的にもプラスの効果が得られていると説明する。「案件の採算管理集計が、以前は個々の採算管理が行なわれた後に実施していたため、全体的に5営業日ほどは必要でしたが、今は1営業日でまとめられるようになっています」と清水氏。また、kintoneへのデータ集約によって他システムへの連携も可能になり、データ活用の幅も広がっているという。

krewシリーズについては、「Excelと遜色なく現場で利用できるなど利便性はとても高い。管理に必要な可視化のためのグラフ化もしやすく非常に重宝しています」と清水氏は評価する。

また、kintoneおよびkrewシリーズの開発を担当したコムチュア株式会社の齋藤氏は「JavaScriptにてカスタマイズすることは可能ですが、ここまで作り込むのは非常に難しく、コストも大きく膨らんでしまう。プラグインを利用した方が不具合のリスクも防ぐことができます。設定もExcelベースで分かりやすく、お客さまにもどんな設定か伝えやすい」とkrewシリーズに対する評価は上々だ。

コムチュア株式会社 コラボレーション本部 コラボレーション第二部 齋藤 康大様
齋藤 康大様
コムチュア株式会社 コラボレーション本部
コラボレーション第二部
■ コムチュアが取り組むkintone開発の品質を高める「開発標準」

kintoneとkrewシリーズを活用したシステム開発を数多く手掛けるコムチュアでは、横河レンタ・リースでのシステム構築にあたりkintoneとkrewを活用する場合の開発標準を作成したとのこと。具体的には属人化を防ぐためJavaScriptによる作り込みを避けkrewDataを採用。krewDataのデータ編集フローについても処理をブロック化してコマンドを1つ1つ確認しなくても、どのようなロジックで集計が行われているのかわかるように標準化したという。また、データ処理フローに記載するコメントの付け方にもルールを設け、開発標準に落とし込んでいる。

これにより、新たなメンバーが開発プロジェクトに参加した場合でも、リリース後の保守・メンテナンスやシステムの拡張時に品質を保ち、迅速な対応ができるという。コムチュア独自の開発標準は、信頼性を高める取り組みとして他の顧客の案件についても積極的に採用していきたいと、齋藤氏は語る。

■ 予算管理の仕組みを広げつつ、他事業部にもkintoneとkrewの組み合わせで展開

今後については、利用者から寄せられる開発要望に対して柔軟に対処できるツールの1つとして、krewシリーズを積極的に活用していきたいという。すでにレンタル事業部でもいくつか開発プロジェクトが動いており、要件に応じて適宜利用範囲を広げていきたいと期待を寄せている。

また、情報システム部門向けに予算管理の仕組みを整備し、krewDashboardやkrewDataを駆使して予算執行状況などの可視化を進めていく計画となっている。 「情報システム部門向けだけでなく、今後は他事業部も含めて、予算管理に関連した仕組みを現場に展開していくことを想定しています」と清水氏。そして、情報を一覧で管理して情報をメンテナンスするような場面ではkrewSheetの適用も進めていくなど、さらなる業務改善に向けた環境づくりに活用していきたいと今後について語っていただいた。

この事例の導入支援パートナー
コムチュア株式会社様 ロゴ
コムチュア株式会社

クラウドとビッグデータ・AIに強みを持ち、業務課題を解決するトータルソリューションを提供するSI企業。サイボウズ製品についてもkintoneやGaroonの導入から開発・運用まで一貫したサポートを提供している。