導入事例

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トラスト・インターナショナル

業種:
卸売業・小売業

利用用途:
受注管理・配達管理

使用製品:
krewData

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事例公開日:2021年11月24日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

B to Cビジネスによくある繰越処理など複雑な請求処理のフローを自動化
業務基盤としてのkintoneをデータ活用基盤へと押し上げるkrewData

宅配水事業や光冷暖事業などを手掛けている有限会社トラスト・インターナショナルでは、宅配水に関する受注管理および配達管理においてkintoneにて業務基盤を整備しており、繰越処理など複雑な請求処理における効率化を実現するべく、グレープシティが提供するkrewDataを利用している。その経緯について、代表取締役社長 澤田 剛氏および澤田 美佐子氏、そしてkintoneアプリの制作を手掛けた有限会社矢内石油 専務取締役にしてkintoneエバンジェリスト 矢内 哲氏にお話を伺った。

【課題】業務の見える化ができず、複雑な請求処理に関する負担が大きかった

2005年に福岡市で中古車販売事業をスタートさせた澤田氏は、現在は有限会社トラスト・インターナショナルとして北海道函館市や北斗市を中心に宅配水事業を手掛けるクリクラ渡島を運営、さらに壁や天井を最大限に活用して室内環境を最適化する次世代型冷暖システム「F-CON(光冷暖)事業」やファスティングを中心としたウェルネス事業も展開している。宅配水事業においては、世界最高レベルの厳しい水質基準をクリアしたクリクラの水を300ほどの店舗や家庭に宅配しており、安心・安全かつおいしい水を顧客に提供。「宅配水事業はもちろん、無風の冷暖房システムであるF-CONや健康促進などに効果のあるファスティングなど、健康に特化した事業を多方面に展開しています」と剛氏は説明する。

そんな同社が手掛ける宅配水事業では、顧客への定期配達と個別の注文を受け付ける形で受注が行われている。個別注文については配達エリアごとに決められた配送日の当日に注文が入ることもあり、すでに出発した配達員への連絡がつかないことも。
「以前は誰がどのエリアを回っている最中なのか把握しづらい状況でした。電話やLINEで受け付けた注文内容を配達事業者に知らせるのですが、すでに配達が終わったエリアの場合は戻ってもらう必要があるなど、効率のいい状態ではなかったのです」と剛氏。

代表取締役社長 澤田 剛様
澤田 剛様
代表取締役社長

また請求処理に関しては、注文状況を紙やExcelで管理しており、請求タイミングも顧客によって異なっていたことで複雑な処理が求められていた。特に複雑なのは、一般家庭の場合だと配達時にたまたま手持ちの現金を切らしているなどの事情で全額回収できないことがあり、繰越請求などが個別に発生していたことだ。「お客さまの支払い状況は紙でまとめていることが多く、請求金額やそのタイミングなどもまちまち。紙やExcelを確認しながら何段階も経由したうえでようやく請求書の作成にたどり着くため、長ければ請求書の作成だけで1日を費やしてしまうこともあったのです」と美佐子氏は当時を振り返る。集中して請求書を作成しているときにも注文の電話が鳴るたびに手を止めざるを得ず、請求金額を知りたいという問い合わせがあればその都度紙を探して調べる必要があるなど、手作業による業務負担が大きくなっていったという。

スタッフの作業負担
▲ 繰越請求など顧客ごとに支払状況を帳簿にまとめて、請求書を作成する煩雑な業務

【選定】複雑な請求処理を実現する環境づくりに欠かせないkrewData

■ 業務改善に関するセミナーにて衝撃を受けたkintone

そんな折、知人から紹介を受けて参加した業務改善に関するセミナーで出会ったのが、サイボウズが提供するkintoneだった。「kintoneであれば、宅配が完了した際にスマートフォンで完了ボタンを押せば配達状況が見える化できますし、情報を集約することで請求処理の効率化が可能になる。まさに私がやりたかったことが実現できると思ったのです」と剛氏。これまでLINEで注文を受けた場合はその内容をスクリーンショットにて美佐子氏に送って事務所に手入力してもらっていたが、kintoneであれば現場で直接入力できるため、業務の効率化にもつながると考えたのだ。

同じセミナーに参加していた美佐子氏は、「これまでバラバラに処理していた、受注から請求に至るプロセスが全てkintoneで管理できると聞いて不思議な感覚でした。パソコンに慣れていないこともあり、期待よりも不安な部分が正直大きかった」と語る。それでも、多くの時間を費やしていた業務を省力化し、別の作業に充てられることはすごく魅力的だったと語る。

澤田 美佐子様
澤田 美佐子様
■ 複雑な請求処理のフロー整備、krewDataがないと構築できないと判断

そこでセミナー主催者であるkintoneエバンジェリストの矢内 哲氏にアプリ開発を依頼することに。矢内氏は、澤田夫妻から話を聞いた矢内氏が課題と考えたのが、受注から配達までのデイリー業務が煩雑だったこと。まず、受注や配達の仕組みをkintoneに整備したうえで、蓄積されたデータをもとに請求管理までの流れを整備することを提案したという。
「日常の業務管理をスムーズにする流れを作り出すべく、レコードの登録から情報共有などを行うことで受注から配達までのフローを整備しました。ただし、請求に関して複雑な処理が必要で、うまく請求につなげるための仕組みづくりが求められたのです」と矢内氏。

矢内石油 専務取締役 矢内 哲様
矢内 哲様
矢内石油 専務取締役

一般家庭に向けた宅配水事業の場合、定期的に配達しながら請求書や領収書を客先に届けるのが一般的だが、前述のようにそのタイミングで必要な金額が全て支払われないケースがある。「前月までの残金を足した形で請求金額を算出したり、入金明細なども含めて請求書と一緒に渡したりなど、複雑な処理が発生します。取引先ごとに締め日や支払い方法が異なるだけでなく、年末年始など連休が重なると口座振替の銀行側の都合で20日締めにならないなど、イレギュラーな処理も多い。締め日のマスターと請求書発行のロジックをうまく連携させながら管理する必要があったのです」と矢内氏。そのための仕組みづくりに選ばれたのが、krewDataだった。「データの加工や編集などが容易なkrewDataは、私にとって万能ツールです。おそらくkrewDataを使わないと作り込むのが難しいと判断したのです」と矢内氏は説明する。結果として、kintoneをベースに受注管理から配達管理、そして請求管理の仕組みを整備したうえで、複雑な集計作業が必要な請求処理にkrewDataを採用することになったのだ。

【効果】受注から請求までの流れをkintoneおよびkrewDataで整備

宅配水の顧客数は300を超えるという。顧客管理アプリや締日管理アプリといった各種マスターアプリとともに、受注管理アプリを運用しており、受注管理アプリのなかで受注登録から配達完了までのプロセスを管理している。また請求に関しては、売上情報や売上明細、繰越残管理の各データを用いて請求金額が算出されており、銀行振替の場合は顧客の締め日に合わせて請求書を発行、配達時に直接現金を受領するケースでは、領収書を事前に発行して受け渡している。「お客さまによっては前月入金がない状態で繰越する場合もあり、krewDataで個別に空のレコードを作成して処理するなど、複雑な条件分岐をデータ編集フローで組み上げています」と矢内氏。

概念図
▲ 入金記録や注文データ、締日から顧客ごとに当月の請求金額を算出する複雑な処理をkrewDataで自動化

具体的な業務の流れについては、電話を中心に受注が入った段階で受注管理アプリに受注登録を行い、配達日を確定させる。そして配達日には、顧客ごとに配達が完了した段階で受注管理アプリ内の完了ボタンを配達ドライバーが押下することで、現在どのエリアを配達しているのかが把握可能だ。「当日届けて欲しいという連絡があれば、今どのエリアを配達しているのかをアプリ上で確認することで、配達できる時間がおおよそお伝えできるようになりました。配達状況が見える化できたことで、お客さまにもきちんと時間をお伝えできるようになっています」と電話応対の質向上にもつながっていると剛氏は評価する。そして、配達内容を事務所にて確認し、日々の業務は完了する。そして締め日の前日に請求書を作成し、帳票出力プラグインのRepotoneUにて事前に発行した請求書をドライバーに手渡し、翌日の配達に備える流れだ。

■ 10分の1にまで作業負担を軽減、’空いた時間を新たな事業に向けた時間に活用

kintoneおよびkrewDataで業務基盤を整備したことで、事務所や現場にいても情報が適切に記録でき、受注漏れや配達ミスを防ぐなど受発注関連のトラブルがほぼなくなったと剛氏は高く評価する。「以前は電話やLINEなどで事務所に伝えると、うまく情報が連携できないことでミスも発生していましたが、今は現場からkintoneに入力でき、漏れがなくなった印象です。ミスによって解約につながるリスクも解消できました。手書きの伝票を多く作成していた以前に比べて、今はkintone内の情報を出力するだけで請求書が作成できる。事務負担も大きく削減できています」。

概念図
▲ kintoneアプリにデータを登録することで、配達状況の可視化と請求書発行の自動化を実現

請求書作成を行っている美佐子氏も、その効果を実感している。「仕事全般で見れば、おそらく10分の1ぐらいまで時間短縮につながっているのではないでしょうか。お客さまから請求額について問い合わせがあれば、以前は事務所に戻って請求額を調べる必要がありました。今はkintoneにアクセスするだけですぐに回答できます。伝票を記載するにも数十件あれば40分ほど必要でしたが、今なら5分ほどで伝票が揃えられる。今まで何をしていたんだろうと思ってしまうぐらいの時間であらゆる業務がこなせるようになりました」と美佐子氏の評価も高い。実は、1日がかりの請求書作成がわずか10分程度でできてしまったことに不安を覚え、導入後しばらくは全ての伝票を厳密に確認して間違いがないか確認していたほどだったという。

劇的な業務の効率化を実現したことで、空いた時間を新たな事業に向けた資料作成や情報のインプット時間に活用するなど、リソースを他の活動に充てることができたことも大きな効果だと語る。「現在の環境に非常に満足しています。kintoneとkrewDataがこんなにすごいものだとは正直思いませんでした。この生活に慣れてしまったら、もうアナログには戻れません」と美佐子氏は絶賛する。

■ krewDataがあったからこそ複雑な請求処理がフロー化できた

実際に開発を手掛けた矢内氏も、krewDataがなければ今回の複雑なプロセスを構築することは難しかったと語る。「打ち合わせのなかで細部にわたって業務を完全に理解することは難しいものです。たとえJavaScriptで作り込めたとしても、実際の業務に合わないフローが発生した段階で、すべてが崩れてしまう。krewDataはデータ処理が可視化でき修正も容易なプラグインだからこそ、試行錯誤しながら新たに業務を固めていったり、これ以上締め日を増やさないような運用に変えてもらったりなど、アジャイル的なアプローチが可能でした」と評価する。もちろん、これまでアナログな業務を完璧に運用していた澤田夫妻だからこそ、テストの際に実際のフローに照らし合わせながら検証をやりきれたことで、うまく運用に乗せることができたと矢内氏。

開発を支援したグレープシティについては、krewDataのデータ編集フローの設計に関して適切なアドバイスを行うなど、複雑な請求処理のフロー化に大きく貢献しているとのこと。「kintoneによって業務管理の基盤を整備するファーストステージから、その先のデータ加工や集計、分析などDX推進につながるセカンドステージでkrewDataが活躍する場面は相当増えています。今回はある意味とんでもないスピードでセカンドステージまで進めることができましたが、それはkrewDataがあったからこそ。今ではkrewがないと絶対に進められないと多くのお客さまに自信をもって提案しているほど。今回も強力に支援いただいたからこそ実現できたという意味で、グレープシティは私にとって最高のパートナーです」と矢内氏の評価は高い。

■ 異なる事業への展開も視野に、kintoneおよびkrewDataをさらに活用していきたい

現在は宅配水事業の業務基盤としてkintoneを活用しているが、現在事業が拡大しつつあるF-CON事業に関しても展開していきたいという。「光冷暖のシステムの設置には工事が必要で、建物の図面などを共有する場面も多い。膨大なデータ量の情報共有が必要になるため、ぜひkintoneを情報共有基盤として活用したい」と剛氏は語る。特に北海道の総代理店であるF-CON事業に関しては、提携する工務店が増えており、工務店ごとの取扱量や現場の状態などを可視化するニーズも出てくるはずで、その場面ではkrewDashboardによって可視化するようなニーズも考えられるという。

美佐子氏は、現状請求書の処理に関して一部マニュアルの映像を見ながら作業している部分があるため、操作に慣れていきながらさらなる業務時間の短縮につなげていきたい考えだ。「私が中心となっているウェルネス事業に関しても、お客さまが増えてくればスケジュール管理や顧客管理などが必要になります。その際にはぜひkintoneをうまく活用したい」と期待を寄せている。