導入事例

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株式会社利根川産業様

業種:
その他

利用用途:
管理会計/経営ダッシュボード

使用製品:
krewData・krewSheet・krewDashboard

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事例公開日:2021年8月27日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

数字の加工や集計作業そのものが仕事になっていた環境からの脱却を実現
停滞していたkintone活用の起爆剤として効果を発揮するkrewシリーズ

廃棄物の収集運搬並びに中間処分・資源リサイクル事業を展開する株式会社利根川産業では、取引先などの各種マスター管理や現場での実績入力、日報業務、契約書管理などにkintoneを活用、その後基幹システム上の各種情報や管理会計の見える化などの際にkintoneアプリ内の情報集計や情報管理などにkrewシリーズを活用している。その経緯について、取締役部長 利根川 靖氏にお話を伺った。

【課題】導入後2~3年でkintoneアプリ開発の停滞期を迎えていた

1964年に家業として始めた利根川商店を起源に、事業拡大に伴って1986年に法人化、2003年には東京・入谷に産業廃棄物中間処分場及びリサイクル施設を設置するなど、廃棄物収集運搬および中間処分・資源リサイクル事業を展開している株式会社利根川産業。一般廃棄物・産業廃棄物の収集、運搬、処分、コンサルタントに関する業務をはじめ、古紙のリサイクルやRPF(固形燃料)製造、ペットボトルのフレーク化や発泡スチロールの再生・原料化なども手掛けており、廃棄物の運搬、処分からリサイクル処理までを一括で請け負っている。処理施設を持たない運搬収集事業者の廃棄物に関するリサイクルも行っており、スポーツメーカーとともにペットボトルを繊維にリサイクルするといった取り組みも進めている。

そんな同社が社内のIT化に取り組んだのが2012年ごろ、以前はオフィスに設置されたホワイトボードにてスケジュール共有を行うなどアナログな運用が中心だった。そこで、円滑な情報共有を可能にするべく外部業者に情報共有の仕組みを開発してもらったものの、保守の関係で運用が困難になり、新たな環境を模索。ある程度自分たちで運用できる内製化の重要性を認識し、社内の情報共有基盤としてサイボウズOfficeを契約することに。また個別に実装が必要な業務については、当初はカスタムアプリでの対応も想定していたが、アプリ作成のしやすさやモバイルデバイスとの連携も考慮し、kintoneを導入することになる。「当時は廃棄物の収集時に実績を記録するための専用のシステムを検討していましたが、現場でタブレットを使って実績導入できる仕組みをカスタムアプリで実装できないかサイボウズに相談したところ、kintoneを紹介いただいたことがきっかけでした」と利根川氏は当時を振り返る。

株式会社利根川産業 業務管理部 取締役部 利根川 靖様
利根川 靖様
株式会社利根川産業 業務管理部 取締役部

kintone導入後には、kintoneプラグインのプリントクリエイターを導入して情報のプリントアウトが可能になったことから、2015年には収集部門のみで利用していた環境から工場のリサイクル処理部門へも展開、廃棄物の契約書や価格表などを出力して活用するなど、一気に活用の幅が広がったという。「導入当初は20~30ほどのアプリを毎年作成しており、2015年には一気に50を超える規模にまでアプリ開発数が拡大したのです」と利根川氏。ただし、その後は収集部門、リサイクル部門での活用が安定したこともあり、kintoneの活用拡大は一段落、ある意味停滞期を迎えることになった。

▲	2018年までのkintoneアプリ数推移
▲ 2018年までのkintoneアプリ数推移

【選定】管理会計業務に必要な、複数アプリ内の情報を加工、集計できる機能が大きな魅力

そんな折、管理部門において部門別の経費や売上管理を行うための管理会計業務に必要な環境整備が求められるようになったという。「部門別の詳細な損益まで含めた管理を行うことで、経営判断に資する情報が必要になりました。ただし、収集運搬や処分など部門ごとに専用のシステムがあり、その数字の受け皿としてのExcelファイルをkintone上で管理していました。これらを統合して管理会計としての数字を見える化したいと考えたのです」と利根川氏。

管理会計に適した個別のツールを導入することは考えず、できる限り仕組みとしてまとめて運用できる環境が利根川氏にとって理想的だった。そのため、すでに業務基盤として運用に乗っていたkintoneをベースに検討を進めることに。そこで注目したのが、サイボウズのイベントなどでもよく見聞きしていた、グレープシティが提供するkrewシリーズだった。「Excelでやろうと考えたこともありましたが、数式が壊れてしまったり情報更新に手間がかったりなど課題も見えていました。できればkintoneでうまくできないかと考えていたところ、複数アプリの情報を円滑に加工、集計できるkrewDataに注目したのです」と利根川氏。

同時に、スタッフでも情報管理しやすい環境として、ExcelライクなインターフェースであるkrewSheetも合わせて検討したという。実は、当初から集計した結果を見える化するためのkrewDashboardも含めて検討していたが、一気に導入してしまうと予算的に大きくなることから、当初はkrewDataおよびkrewSheetを導入し、その後krewDashboardを導入することに。

結果として、部門別のシステム内の情報をkintoneアプリに投入し、それらの情報を集約して見える化するための仕組みとして、krewシリーズが活用されることになる。

【効果】kintone活用を加速させるkrewシリーズ

■ krewシリーズがkintone活用の幅を一気に広げるための起爆剤に

現在は、廃棄物の収集、運搬のための取引先マスターや廃棄物を処理する顧客台帳などの各種マスターに相当するアプリをはじめ、収集先での実績投入などのアプリも含めて300を超える数のアプリを運用しており、大きくは経理系および営業系、現場のドライバーなどが利用する現場系の大きく3系統のkintoneアプリが作成されている。アプリの作成は利根川氏自身が全て行っており、経理部門をはじめ、営業部門や業務管理、現場管理のメンバー10名ほどが利用している状況だ。「krewシリーズを導入したことで経理部門での管理系アプリが大幅に増え、Excelインターフェースで利用できることで使い勝手も向上し、一気に活用の幅が広がりました」と利根川氏。

アプリに散らばった経営データをkrewで統合・可視化することでkintoneの活用が加速
▲ アプリに散らばった経営データをkrewで統合・可視化することでkintoneの活用が加速
※データは2021年6月までのアプリ数を集計したものです

krewシリーズは、人件費集計や労働時間管理、売上集計、廃棄物取引扱量、作業着申込、一部の特殊な請求業務、年末年始の回収スケジュールの管理など、さまざまな業務に活用されており、krewSheetにて管理するアプリは100を超え、krewDataによる各種集計やkrewDashboardによる情報の可視化を行っている。営業の問い合わせ管理アプリでは、krewSheetにてホームブリッジ経由での問い合わせ情報を管理しており、経理関係の情報は大きなモニタにてレコード一覧とサブウィンドウを駆使して詳細な情報を閲覧するといった使い方も行われている。請求業務については、基本的には基幹システム側で作成しているが、複数の店舗が入っているショッピングモールなどでは店舗個別の請求書作成が必要な場面もあり、krewシリーズを駆使して基幹システムで対応できない一部の請求業務に必要な明細作成を行っている。

具体的な例の1つとして挙げた廃棄物受入取引集計では、基幹システムからCSVにてデータをkintone内に入れ込んだうえでkrewSheetにて管理し、それらをkrewDataにて集計してkrewDashboardにて見える化しているという。「以前はExcelで管理して関係者に印刷して報告していましたが、今は全てkintone上で完結できるようになり、月30時間ほどかかっていた集計業務が、krewシリーズによって半自動化することで3分の1ほどの時間で済むようになっています」と利根川氏は評価する。なお、基幹システムやタイムカード系のアプリなど周辺システムとの連携はCSVにて行われ、利根川氏が直接kintoneに取り込んでいる状況だ。

krewの導入前後比較
■ 数字の加工や集計作業そのものが仕事ではない、考えることに時間が割けるように

krewシリーズを導入したことで、各種集計業務においては全体の工数が半分以下になり、視認性および使い勝手が向上したことで活用の幅を大きく広げることに貢献している。さまざまな情報がkrewDashboardにて可視化できるようになり、経営判断の迅速化にも大きく寄与しているという。「数字の加工や集計に手間がかかると、その作業自体が仕事になってしまいます。本来そのデータからどう判断するのかに時間を割くべきで、その作業に時間を使えるようになったのは大きな効果です」と利根川氏。

krewDashboardのピボットテーブル機能を活用した取引量の実績と昨年対比
▲ krewDashboardのピボットテーブル機能を活用した取引量の実績と昨年対比

実際にkintoneを活用しているメンバーからも、Excelインターフェースの分かりやすさをはじめ、kintone標準にはない検索のしやすさが高く評価されていると利根川氏。「krewSheetに備わっている検索窓からの検索が非常に便利で、フィルターで絞り込みしやすいなど現場からも好評です」と評価する。更新作業もレコードを1件ずつ展開せずとも一覧画面で実施できる点も大きな魅力だという。

業務ごとにkrewSheetで一覧を作成
▲ 業務ごとにkrewSheetで一覧を作成

もともと開発経験のない利根川氏だけに、krewDataに関してはしっかりとした学びの時間が必要だったと振り返る。「Excelのように使えるkrewSheetであれば使いながら理解できますが、krewDataについては多少難しさがありました。マニュアルが充実している面もありますが、MOVEDが提供するクラウドユニバーシティに参加して学びながら、グレープシティが提供するメルマガからヒントを得たり、krewDataドリルにて学びの機会を増やしたりすることで、開発経験のない私でも実装することができています」と利根川氏。もちろん、グレープシティの技術サポートサービスも積極的に活用しながら、アプリ作成を行っていったという。「レスポンスよく回答いただけていますし、難しい数式の使い方やサンプルデータの提供などもあり、とても助かっています。最初はメールでのやり取りに少し抵抗がありましたが、アプリテンプレート、krewの設定ファイルなどをこちらから提供することで課題状況の認識をしっかりと合わせることができ、最終的には自分で思いつかなかったような解決策をご提示いただくなど、支援体制が充実していることも大きな魅力です」と利根川氏は評価する。

■ krewDashboardによる可視化をさらに押し進めながら、使い勝手をさらに磨いていく

現在は多くのkintoneアプリを運用し、krewSheetやkrewDataを駆使して集計業務などの効率化に向けた環境づくりを進めているが、それらの情報をkrewDashboardにて可視化していく試みについてもさらに進めてきたい考えだ。「krewDashboardで可視化できた情報をもとに、改善活動や次のアクションを起こせるような環境づくりを進めていきたい」と利根川氏。具体的には、売上げ推移や修繕の状況、収集に関する走行距離や燃料の使用量、車両メンテナンスの内訳など、各工程における状況や原価管理につながるような情報を可視化していきたいと期待を寄せている。

また現状でも部門会計のデータを活用しているが、集計自体が重たい作業になっている部分もあり、内製化以外の選択肢も視野に入れているという。「現在は私の方で全て作り込んでいますが、知見を持った外部のディベロッパーにお願いして、さらに使い勝手のいい仕組みにしていくことも今後は検討したい」と利根川氏。さらに、既存業務の改善を進めながら、多くの企業が取り組むデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みにもつなげていきたいという。「我々にとってkintoneおよびkrewシリーズはなくてはならないシステムになっています。DXについてはいろいろ言われていますが、社内を良くしたい、便利にしたい、簡単にしたいという思いが、最終的にDXという大きな流れにつながっていければと考えています」と最後に語っていただいた。