導入事例

株式会社東京ドーム様ロゴ

株式会社東京ドーム様

業種:その他

部署:営業・セールス

利用用途:営業管理

使用製品:krewSheet/krewData/krewDashboard

株式会社東京ドーム様 メインビジュアル

事例公開日:2023年06月08日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

複雑な商品体系のマスタ化によって業務効率・品質向上に貢献
販売管理システムとして営業活動を支援するkintone+krewシリーズ

全天候型多目的スタジアムである東京ドームを中心に、スポーツやレジャー、エンターテインメントの創出を行っている株式会社東京ドームでは、売上や請求関連の管理を行う販売管理システムの保守切れに伴って新たな基盤づくりに着手。大規模なコストをかけずに継続したカスタマイズが可能な仕組みとしてサイボウズのkintoneを採用、同時にグレープシティのkrewシリーズでアプリ間連携の処理やデータメンテナンスしやすい環境整備を実現している。その経緯について、営業企画部 販売企画グループ 後藤 大地氏と構築を担当した株式会社ミューチュアル・グロースの澤田 周五郎氏、石川 恭子氏、齋藤 まりえ氏にお話を伺った。

【課題】独自開発された販売管理システムが保守切れに、新たな基盤づくりに着手

1936年に「プロ野球専用のスタジアムをつくる」ことを目指して創業した株式会社後楽園スタヂアム(現 株式会社東京ドーム)は、翌年に開場した後楽園スタジアムを手始めにレジャー・エンターテインメントを創出し続け、現在はアミューズメントやスパ、ホテル、テナント施設を包括する東京ドームシティ事業を中核としている。

同社は共感型セレクトコスメショップを手掛ける流通事業や、熱海後楽園ホテルを中心とする複合型リゾート「ATAMI BAY RESORT KORAKUEN」を運営する熱海事業、不動産事業、競輪事業など、多岐にわたる事業を手掛けている。2021年には三井不動産株式会社の連結子会社となったことで、これまで以上にスポーツ・エンターテインメントを中心とした空間・時間創出の可能性を追求しながら、魅力ある街・空間づくりに挑戦している。

そんな同社において、ビジネスイベントや福利厚生で東京ドームシティの施設やサービスを使いたいという法人向けに販売活動を行っているのが、営業企画部である。

「企業の福利厚生の一環として利用できる野球観戦チケットや東京ドームシティのレジャーチケットといった商品を中心に、企業や健康保険組合、労働組合などの団体を対象とした営業活動を行っています」と、後藤氏は営業企画部について説明している。

同社では部門ごとに最適な業務基盤を整備しており、それぞれの事業や業務に最適化された形で運用している。その中で、営業企画部では、スクラッチ開発で独自に作り込まれた販売管理システムを運用しており、見積から請求に至る業務を行っていた。しかし、販売管理の仕組みが保守切れを迎えることになったことをきっかけに、積み重なった課題の解決に向けて新しいシステムを検討することになったと、後藤氏は当時を振り返っている。
とはいえ、営業企画部が扱うチケットをはじめとした商品は、かなり複雑な構成だという。

株式会社東京ドーム 営業企画部 販売企画グループ 後藤 大地様
後藤 大地様
株式会社東京ドーム 営業企画部 販売企画グループ

「商品数が多いだけでなく、同じ商品でもチャネルによって卸価格が変わるので掛け算式にアイテムが増えます。また、季節ごとの期間限定商品やイベント限定の商品といったスポット的な商材もあります。さらに、野球のチケットなど期間の違いで価格が変動するものもあって商品構成が複雑なのです。売上を登録するにも多くの工数がかかりますし、入力ミスも起きる可能性がある」と、後藤氏は述べている。

このような複雑な商品情報をうまくマスタ化して、入力負担が軽減できるような仕組みが必要となった。また、ビジネスの変化に伴って生じる新たな要件に柔軟に対応し、継続した業務改善につながる基盤であることも求められた。さらに、FAXによる受注を廃止し、ペーパーレス化と営業担当者の負荷軽減なども盛り込まれたという。

しかし、通常のパッケージやスクラッチ開発では、営業企画部の複雑な商品体系をうまくシステムに落とし込むことが難しく、継続的な改善活動につなげていくような柔軟性に欠けると判断された。

1つの申込み(案件)で構造の異なる商品を登録・管理するため事務コストが膨大
▲ 1つの申込み(案件)で構造の異なる商品を登録・管理するため事務コストが膨大

【選定】kintoneを生かすツール、内製化が可能な環境づくりに欠かせないkrewシリーズ

そこで後藤氏と検討グループが目を付けたのが、業務基盤のプラットフォームとして活用でき、大きな費用負担なく継続的な改善が可能なkintoneだった。同社の別の部署でkintoneを使った仕組みを構築していたこともあり、具体的に話を聞いたところ、商品管理に必要な項目を自由に設定できることや修正対応が自分たちで行えることなどから複雑な商材の販売管理にも活用できそうだと感じたという。

「一般的なシステム開発だと、軽微の改修であっても多くの費用と時間がかかってしまうもの。kintoneであれば、運用後にチームから発生する改善意見に柔軟に対応でき、改修費用も比較的安価で済むのが大きかった」と後藤氏。

同時に、システム構築を担当したミューチュアル・グロースからkrewシリーズの利用を提案されたという。

商材の構造が複雑なので、受注内容から、申し込みに関する情報(案件情報)と申込みに紐づく商品情報やチケット情報をそれぞれ別アプリで管理する必要がありました。これをkintoneで実装するとなると、アプリ間をうまく連携させていく仕組みが必要でした」というのは澤田氏。

株式会社ミューチュアル・グロース 澤田 周五郎氏
澤田 周五郎氏
株式会社ミューチュアル・グロース

運用後は東京ドームさん自身で改修できることを目指していたので、JavaScriptでカスタマイズするのではなく、プラグインで解決できることを前提にアプリ間の連携ができるプラグインkrewDataを提案しました。それから、起票時に入力する項目が多いと聞いていたので、Excelのような操作性で作業できるkrewSheetも提案しました」と石川氏はkrewシリーズを提案した理由を述べている。

こうして、新たな販売管理の仕組みとしてサイボウズのkintoneを導入、分析のためのkrewDashboardも含めてグレープシティのkrewシリーズを活用することになったのだ。

株式会社ミューチュアル・グロース 石川 恭子氏
石川 恭子氏
株式会社ミューチュアル・グロース

【効果】kintoneとkrewシリーズによって販売管理システムの刷新を実現

■ 柔軟性の高い販売管理システムの構築に成功

販売管理の仕組みは、同社の担当者が「申込入力アプリ」に受注内容を入力すると、krewDataで「申込管理アプリ」と「申込商品アプリ」にそれぞれレコードが作成される。申込管理アプリは取引先や注文内容などの案件情報の管理を行うもので、申込商品管理アプリは、申し込んだ商品ごとに情報を分割したもの。さらに、複数のチケットをまとめた商品の場合は、チケット単位で情報をバラし「申込みチケットアプリ」で管理している。これらアプリ間でのレコード作成をkrewDataが担っている状況だ。

アプリに入力された情報を、申込み管理アプリと申込商品アプリに振り分けるデータ編集フロー図
▲ アプリに入力された情報を、申込み管理アプリと申込商品アプリに振り分けるデータ編集フロー図

「申込入力アプリでは情報の入力や申請・承認を行い、その後は基本的に申込管理アプリが受注業務のメインになります。請求書番号や顧客名などで検索できますし、承認・未承認の情報やレコードごとにチケットの詳細情報がサブウィンドウなどに表示されます。件名や支払い期限などは申込管理アプリのkrewSheet上で行っています」と後藤氏。

さらに、申込管理アプリの情報はkrewDashboardのピボットテーブルで売上順位や担当者単位など全体の実績表を中心に可視化しているほか、見積書や請求書、チケット発送の送り状といった帳票類はRepotoneU ProでPDF出力しているとのこと。

申込み管理アプリのデータからチケットの販売チャネル別の売上比をグラフ化したkrewDashboard
▲ 申込み管理アプリのデータからチケットの販売チャネル別の売上比をグラフ化したkrewDashboard

また、複雑な商品構成を管理する商品マスタについては、チケットや物販など用途に応じて分類しそれぞれのマスタが用意されている。「野球の日程や席種、対戦相手、販売チャネルなどによってチケットの単価が変わり、同じチケットでも時期によって金額が変わるなど、複雑な商品ラインナップをマスタ化しています。グッズやお弁当など球場内商品は扱い方が異なるため、別マスタで管理しています」と後藤氏。

それぞれのインターフェースにはkrewSheetが適用されており、後から修正や追加が発生するアプリには、後藤氏自らkrewSheetを適用している。

商品とチケット情報を1画面で表示したkrewSheetの適用例
▲ 商品とチケット情報を1画面で表示したkrewSheetの適用例

「私が適用した一例を挙げると、旧販売管理システムでCSV出力した情報をkintoneに取り込んで、過去データとしていつでもkrewSheetにて閲覧できるようにしています」。

現在kintoneは後藤氏が運用している販売管理の部分で35名、他の部署が運用する別の仕組みも含めると全体で80名ほどのアカウントで運用されているそうだ。

複雑な商品構造に対応するマスタアプリにより、業務に合った案件管理を実現
▲ 複雑な商品構造に対応するマスタアプリにより、業務に合った案件管理を実現
■ 入力の負担軽減と作業品質の向上、ペーパーレスにも貢献するkrewシリーズ

販売管理システムをkintoneおよびkrewシリーズにて再構築したことで、マスタから情報が引き出せるようになり、担当者の入力負荷軽減はもちろん、誤入力の防止など作業品質向上に寄与していると後藤氏は述べる。

krewSheetのおかげで、各レコードをそれぞれ開くことなく一括編集が可能になりました。krewSheetがなければ、作業効率にも大きく影響していたはずです」。

また、帳票もPDFにて簡単に出力できるようになり、ペーパーレス化が進んでいるという。紙で運用をしている部分もあるが、3分の1のペーパー削減が実感できているという。

現場からの要求にも、krewSheetで迅速に対応できるためメンテナンス性の面でも大きなメリットが得られていると好評だ。krewSheetのインターフェースについては特に満足度が高いと後藤氏はいう。

Excelライクなので操作自体が直感的ですし、表示する項目を簡単に設定できるので、かなり使い勝手の良い仕組みです。担当者からも、ネガティブな意見は聞かれず、従来の知識でそのまま操作できることが大きな利点です。売上登録に関する説明会は実施しましたが、kintoneやkrewシリーズの勉強会は特別に開催せず、日々の業務で運用できています

今回のプロジェクトで提案から開発支援、運用サポートを担当したミューチュアル・グロースについて、「時には困難な要求をすることもありますが、いつも丁寧に対応してくださり助かっています」と高く評価している。システムが稼働してから何度か大幅な変更が必要になった際も、デモアプリを作成してビジュアルで確認しながら進められるなど、手厚い支援のおかげで最適な仕組みづくりが実現したそうである。

ミューチュアル・グロースが提供する月額課金型システム開発サービスStrution(ストリューション)を利用し、同社と連携して改修や改善活動を継続的に行っている。

「kintoneの特性から継続的な改善を行えるため、開発して終わりというシステムではなく、都度修正が必要になります。ミューチュアル・グロースさんから継続的なサポートが受けられることは非常にありがたい」と後藤氏はパートナー企業との関係に言及する。

■ インボイス対応やチケットに関連した棚卸など、さらなる業務への展開に期待

今後については、請求書などのインボイス対応を進めており、これらの対応が済んだ段階で、チケットの出庫に伴う在庫棚卸のための仕組みやkrewDashboardを活用した販売実績表の実装など、新たなアプリ実装も視野に試行錯誤を続けていく予定となっている。

「チケットの棚卸などは現状Excelで行っているため、うまくkintone上のkrewSheetで管理できるようにしていきたい。krewDashboardについては、各種実績の分析やレポート機能として、これまで以上に活用できるシーンを増やしていく計画です」と後藤氏。

また、現在は同社のメンバーが申込入力を行っているが、kintoneプラグインのフォームブリッジを活用してチケット申込受付のフォームを用意し、顧客が直接申込できるような受注フローの確立も検討しているという。

ミューチュアル・グロースの齋藤氏は「このシステム構築では、商品を注文するお客様ともWin Winの関係になるという目的もありまして、申込受付フォームの部分が整備できれば、その観点からもさらにシステムの良さが出てくるかなと思っています。」という。

株式会社ミューチュアル・グロース 齋藤 まりえ氏
齋藤 まりえ氏
株式会社ミューチュアル・グロース

「いろいろやりたいことはありますが、現状の販売管理・売上管理をしっかり徹底していくことが重要です。また、三井不動産グループとしてDX推進に注力している部分もあるため、我々としてのDXのあるべき姿を描きながら、kintoneやkrewシリーズをうまく活用していきたい」と後藤氏に今後について語っていただいた。

この事例の導入支援パートナー

株式会社ミューチュアル・グロース ロゴ

株式会社ミューチュアル・グロース

kintoneを駆使した月額課金型業務改善サービスStrution(ストリューション)を提供し、企画から、開発、導入、運用、検証まで継続的にサポートするSI企業