導入事例

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社会保険労務士法人とうかい様

業種:士業・コンサル業

部署:全社

利用用途:顧客管理/タスク管理

使用製品:krewSheet/krewData/krewDashboard

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事例公開日:2022年11月4日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

平準化できない社労士のタスク自動生成を実現したkrewDataと
krewSheetのXrossモードが管理効率を大幅に向上させる

オンライン対応と労務に強い社労士事務所として名古屋に拠点を構え、全国の顧客にサービスを提供している社会保険労務士法人とうかいでは、顧客の手続き業務を管理するための業務基盤としてサイボウズのkintoneを活用、krewDataで労務管理の手続きタスクをkintoneレコードとして自動生成し、タスク管理がしやすい一覧インターフェースとしてkrewSheetを導入。さらに工数管理や採算分析にkrewDashboardを採用している。その経緯について、労務コンサルティングチーム マネージャー 中村 征志氏にお話を伺った。

【課題】Excelからkintone、入力するツールの違いだけで課題解決に至らず

企業における人事労務の専門家として、全国の中小企業の成長を支援している社会保険労務士法人とうかい。労務管理の手間を最小限にするべくオンラインでの対応に注力しており、ChatworkやZoomを駆使して労務相談を受け付けながら、クラウド労務管理システムを活用して顧客と情報を共有、電子申請でのスムーズなやり取りやペーパーレス化に大きく役立つ環境整備を進めている。

一部上場企業から中小零細企業まで全国350社を超える顧客を支援しており、グループ会社である日本企業型確定拠出年金センターは、企業型確定拠出年金の運営管理機関であるなど、他の社労士事務所にはない特長を持っている。法人自体のDXも強力に推し進めており、オンラインとリアルを融合させた創業10周年イベントを開催するなど、ITツールを活用した取り組みにも積極的だ。

そんな同社がkintoneを導入したのは、同法人の代表が士業の交流会に参加した際に顧客管理や請求管理のツールとして紹介されたことがきっかけだった。ただし、導入当初はkintoneの標準機能で利用できるアプリを若干カスタマイズした程度で、セミナー管理簿や顧客管理簿など、アプリ間でデータが連動しない台帳的な使い方だったという。

そんな折、中村氏が顧客企業の各種労務手続き業務を一手に引き受ける「手続き業務チーム」の責任者に任命されることに。

「お客さまから労務管理の依頼を受けて入退社手続きや社会保険関連手続きといった、さまざまな労務手続きを行うのですが、当時は管理簿が存在しておらず、担当者が属人的に処理していました。そこで、全体の手続き管理が把握できるよう、Excelにて管理簿を作成して業務を進めていったのです」と中村氏は当時を振り返る。

Excelで手続き業務の管理を始めたことで、事務所全体としての手続き件数などは把握できるようになったものの、自由度が高いExcelだけに管理簿の作り方が属人化してしまい、情報の漏れが発生することに。多忙な担当者が管理簿に入力し忘れてしまうケースも出てきたことで、さらなる業務改善につながる環境整備が必要になったのだ。そこで、すでに導入済みのkintoneでExcelの代わりとなる管理簿を作成してみた中村氏だが、結局入力するツールの違いだけで、根本的な課題解決にはつながらなかったという。

労務コンサルティングチームマネージャー 中村 征志様
中村 征志様
労務コンサルティングチームマネージャー

【選定】管理性向上やタスク作成の自動化にkrew、kintone活用の幅を広げる提案を評価

そんな課題を抱える中、kintoneアプリの開発や業務コンサルティングを手掛けているパートナーと出会ったことで、kintoneを活用した新たな環境整備に向けて動き出すことになったという。

「当時の使い方について、kintoneが十分に活用できていないと指摘を受けました。実際にやりたいことを相談したところ、色々アイデアをいただくことができたのです」と中村氏。

中村氏の「やりたいこと」とは、各種の労務手続きをパターン化し、手続きに必要なタスクを自動生成することだった。労務管理は入社、退社、出産、給与管理、社会保険関連手続きなど従業員に関する多岐に渡る手続きが必要で、それぞれの手続きに対して必要なタスクをつくるには、業務知識や顧客とのコミュニケーション能力が求められる。このタスクが作成できれば経験の浅いメンバーでも業務が進められるが、そんな人材は一朝一夕には育たないものだ。

そこで提案を受けたのが、グレープシティが提供するkrewシリーズだった。タスクを自動的に作成するには複数のアプリをデータ連携しなければ実現できないと教わり、そのための仕組みとしてkrewDataが提案されたという。

「これまではタスクを作る作業に私自身が忙殺されてしまい、他の仕事に手がつけられませんでした。そこで、ある程度パターン化したものをkintoneのアプリとして整理したうえで、krewDataを使えばタスクを自動的に作成できると提案を受けたのです」。

さらに、これまで使ってきたExcelのようなインターフェースで、タスクの処理状況などを一覧表示できるkrewSheetも検討に上がった。

顧客全体の手続き数は、月単位で500レコードを超えるケースもあるほどで、この数をkintone標準の一覧画面から管理するのは大変です。そこで、krewSheetを使って視認性を高め、フィルタをかけて絞り込みを行うなど、管理しやすい環境が整備できると考えたのです」と中村氏。

krewシリーズの提案を受けたことで、これまで生かしきれていなかったkintone活用の幅が広がり、アイデアも膨らんでくることがイメージできたという。そこで、手続き業務の一元管理とタスクの自動作成が可能な仕組みとして、krewシリーズ導入を決断することになる。

課題の概念図

【効果】kintone活用の幅を広げるkrewシリーズで効率的なタスク管理を実現

■ 全てのアプリにkrewSheetを活用、krewDataでタスクの自動生成を実現

krewSheetとkrewDataの導入後、kintone内の情報を可視化するためにkrewDashboardも合わせて導入、手続き業務における管理基盤として活用している。kintoneアプリ自体は200を超えるほど作成しており、アプリ利用時には基本的に全てkrewSheetをインターフェースとして活用、現場が混乱しないような環境を徹底。また、krewDataは自動・手動実行含めて複数のフローが設定され、アプリ間の連携やデータ集計などに活用、krewDashboardは顧客や担当者ごとの採算分析のためのツールとして活用している。

現在は「新顧客管理」と呼ばれるアプリを中心に手続き業務が行われている。社会保険手続きはもちろん、入社や退職、出産といった不定期に発生する各種手続きのパターンが登録されたアプリからルックアップにてパターンを新顧客管理アプリに呼び出し、そのなかで不要な手続きだけをチェックボックスで選択して削除することで、顧客ごとに必要な手続きがもれなく登録できるようになる。

顧客ごとにどの手続きが必要なのかを選択する「新規顧客アプリ」の画面
▲ 顧客ごとにどの手続きが必要なのかを選択する「新規顧客アプリ」の画面

定期に発生するような手続きは、顧客ごとに手続きが発生する月が登録された状態で月初を迎えると、賞与アプリや36協定アプリといった季節業務に関する個別アプリに対して、kintone標準のルックアップやkrewDataの機能を使ってタスクとしてのレコードが自動登録される。

krewDataでタスクを生成するデータ編集フロー
▲ krewDataでタスクを生成するデータ編集フロー

なお、事務所閉鎖といったパターンに当てはまらない個別要件については、手動で条件を選択することでkrewDataからタスク生成を行っている。

「新顧客管理内で割り当てられる顧客コードを中心に情報が紐づけられており、krewSheet上でフィルタをかけて情報をメンテナンスしながら、日々の管理を行っています」と中村氏は説明する。

krewSheetのExcelライクなタスク一覧により、状況を視認しやすい
▲ krewSheetのExcelライクなタスク一覧により、状況を視認しやすい

それぞれの手続きに関する請求単価も設定されており、クラウド会計と連携することで請求書発行までの手続きも自動化することに成功している。

krewSheetのExcelライクなタスク一覧により、状況を視認しやすい
■ Xrossモードで同時進行する手続きや長期手続きの進捗管理を実現

出産や育児など長期間にわたって手続きが必要な項目に関しては、krewSheetが持つXrossモードにおける行列変換ビューを活用して人や時系列で並べ替えを行うことで、手続きの進捗状況や処理の抜け漏れが把握しやすくなっている。

例えば出産の場合、育児休業を終えて出社するまでに2年半ほどの期間で、社会保険料免除の手続きや2ヶ月単位で申請が必要な育児休業給付金の手続きなど、30項目ほどのタスクが発生します。最初のkintone登録時に全ての手続きを設定しておくことで、krewDataによってタスクが自動的にレコードとして作成できるようになっています」と中村氏。

Xrossモードの行列変換ビューを活用した出産育児手続きの画面
▲ Xrossモードの行列変換ビューを活用した出産育児手続きの画面

krewDashboardについては、担当者が日々入力する日報アプリと顧客ごとの請求データを連携させることで、担当者ごとに顧客別の時間単価がkrewDataによって計算され、その結果をkrewDashboardにて表示させている。

「一定の時間単価を切っているお客さまについては、契約内容の見直しなどを相談させていただく経営ルールを設けています。

この採算管理に必要な処理をkrewシリーズによって行っています。また、手続きの処理ごとに点数を設定し、月単位で目標数字の達成を目指してもらうようにしており、同様にkrewDataで計算し、krewDashboardにて可視化しています」と中村氏。

krewDashboardで採算管理を可視化
▲ krewDashboardで採算管理を可視化
■ 平準化できない領域をkrewシリーズがカバー、Xrossモードで月30時間の削減へ

krewシリーズを導入したことで、これまで使いきれていなかったkintoneが有効活用できるようになった点は大きく、代表からの評価も高い。

krewシリーズのおかげで、今までできないと思っていたことができるようになりました。kintone が飛躍的に使えるようになったという認識は私も代表も同じ思いです」と中村氏。

従来課題となっていたタスクがボタン1つで抜け漏れなく作成できるようになり、顧客へのサービス品質向上にも大きく貢献している。業務量の把握についても容易になり、人員配置など体制面での強化などにも役立っているという。

手続き業務自体は教育によって平準化できますが、顧客ごとに必要な手続きが異なるため、タスクを作り出すところはなかなか平準化できません。この平準化できないところをkintoneやkrewシリーズに頼ることで、大きくコスト削減につなげることができています」と中村氏は高く評価する。

タスク作成業務が自動化されたことで管理業務に専念できるようになり、中村氏自身の工数でみれば半分以下に削減できているという。

さらに、krewSheetにXrossモードが実装されたことも中村氏にとっては大きいという。Xrossモードを活用することで、従来はCSVで情報を出力して並べ替えを行って管理していたものがその場で容易に可視化でき、以前に比べて月30時間ほどの工数削減につながっていると評価する。工数分析についても、従来は全てCSVにてデータを出力して代表自らピポット分析したうえで月次決算のタイミングで会計士に報告していたが、krewシリーズによって事前分析が自動化されたことで1〜2日ほどの工数削減につながるなど、大きな効果を生んでいる。

■ 工数管理の精度を高めながら、顧客との情報基盤としての活用にも期待

現在は、手続き業務における工数管理などを徹底し、顧客ごとの採算についても他の社労士事務所に比べて進んでいる部分はあるものの、製造業が実施しているような工数・工程管理までの精度には到達していないと中村氏は見ている。

「日報自体が手入力で工数管理に必要な数字の正確性については十分ではありませんし、手続きに関しても手戻りの発生が考慮できていない部分も。これまで以上に情報の精度を高めていくことで、より精緻な情報管理ができるようにしていきたい」と語る。

手続きそのものの標準工数の設定も十分でない部分があるため、その点についてもさらに細かく見ていきたいと意欲的だ。

また、顧客とやり取りするための情報基盤として、kintoneのゲストスペースに手続きの管理簿を設置し、タスクそのものを顧客側で登録してもらうことで情報ロスを減らしたり、kintoneにあらゆる情報が集約できるよう、外部で顧客と共有するためのナレッジツールとkintoneを連携させたりといったことも検討しているという。さらに、kintone内に蓄積された入社や退職などHRに利用できるデータを顧客に提供するなど、データ活用の面でもさらに踏み込んでいきたいという。

krewシリーズについては、kintone活用の幅が広がることに貢献したことで、今後もあらゆる場面で生かしていきたいという。そのなかでも、krewSheetのXrossモードのパターンを増やしていきたいと期待を寄せている。「今は出産や育児、労災や傷病手当金などの手続きで使っていますが、さらに使える手続きも多くあるため、うまく活用の幅を広げていきたい」と今後について語っていただいた。

この事例の導入支援パートナー

株式会社コムデック ロゴ

株式会社コムデック

三重県伊勢市を拠点としながら、全国の顧客にクラウドツール等の導入支援サービスを提供するSI企業。kintoneのアプリ構築・伴走支援に強みを持ち、対面開発を通じて業務効率化・生産性向上を実現した事例を自社メディア「コムデックラボ」で数多く公開している。