導入事例

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ロート製薬株式会社様

業種:
製造業

利用用途:
案件管理・生産管理

使用製品:
krewSheet・krewData

ロート製薬株式会社様 メインビジュアル

事例公開日:2021年4月23日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

現場の商談情報を関連部署に共有するための基盤整備を実現
自動更新による負担軽減と導入のハードルを下げるkrewシリーズ

処方箋を必要とせず、薬局やドラッグストアなどで購入できるOTC医薬品や化粧品などヘルス&ビューティー事業を中心に事業を展開するロート製薬株式会社では、営業担当者が入手した現場での商談情報をスピーディに社内共有するための仕組みとしてサイボウズが提供する業務プラットフォームkintoneを採用、併せて営業日報内に記載した情報を別のアプリに自動反映させるための仕組みにグレープシティ株式会社のkintoneプラグインkrewDataを、従来のExcelでの使い勝手を踏襲できる仕組みに同社krewSheetを活用している。その経緯について、営業企画推進部 柴田 久也氏にお話を伺った。

【課題】営業のインプット情報の重要性から、商談情報の共有基盤づくりが急務に

1899年に胃腸薬の販売を手掛ける事業にて創業し、現在は“世の中を健康にするためにどんな困難にもめげず常識の枠を超えてチャレンジし続けること”を意味する「NEVER SAY NEVER」をCIに掲げ、世界中に美と健康を届けるべくさまざまな事業を展開しているロート製薬株式会社。目薬や胃腸薬といったOTC医薬品や化粧品を扱うヘルス&ビューティー事業をはじめ、レストランやサプリメント、農業といった食に関連したビジネスを行う食事業、独自の最先端技術を生かした再生医療事業、世界110カ国以上にグループを展開するグローバル事業などを手掛けている。

なかでも薬局や小売店などで入手できるOTC医薬品の分野は、トレンドや消費者動向が目まぐるしく変化する市場の1つ。その変化に対応するためには、日々行われている小売業との商談情報を、営業部門だけでなく、マーケティングや調達、生産部門にまで迅速に共有していくことが求められている。「マーケティング戦略や原料調達、生産ラインの稼働計画など、あらゆる場面において営業がインプットした情報を軸に動かすことになります。商談情報は、我々にとって非常に大事な情報なのです」と柴田氏は説明する。

そんな同社では、2030年のありたい姿を示した「ロートグループ統合経営ビジョン2030」を2019年に策定し、Connect for Well-beingをビジョンに今後注力する事業領域を明確化したうえで、さまざまな制度改革が推し進められてきた。そこで検討されたのが、以前から課題となっていた営業現場の情報を迅速に共有するための仕組みづくりだ。「日報や週報など報告の仕組みは存在していましたが、ルールが徹底されていない面も。例えば生産現場に必要な発注数などの管理は、日報とは別に手作業で作成されたExcelで行っており、締切直前に慌てて入力を依頼したり、営業担当者に数量を確認したりといった、煩雑な業務となっていたのです」と柴田氏。

ロート製薬株式会社 柴田 久也様
柴田 久也様
ロート製薬株式会社

そこで手始めに検討したのは、医薬品をはじめ、日焼け止めやリップクリームといったシーズン商品に関する商談情報の共有だった。キャラクターとのコラボレーションや大容量サイズ、異なるフレーバ展開などが行われるシーズン商品は、複数の商材を組み合わせて販売する企画品やセット品として、期間や数量限定で販売されるケースが多い。そのため、ドラッグストアなどにどの程度の数量を販売するのか、営業担当者が自己申告する情報をベースに生産計画を立案している。この情報がExcelを中心にやり取りされており、その情報共有に関して課題が顕在化していた。「最初に自己申告した目標数と、実際の商談過程で決定した数字、いわゆる責任数には予実としてのギャップが生まれますが、この商談経過が把握しづらい状況でした。このプロセスをきちんと共有できる環境を整備しようと考えたのです」と柴田氏。

【選定】kintoneと現場への迅速な適用が可能なkrewシリーズが最適な組み合わせ

汎用的なツールとして使い勝手の高いkintone、慣れたExcelライクな環境も希望

そこで、現場のITリテラシーも考慮したうえで、現場に合わせて柔軟に変更できる汎用的なツールを念頭に、現場の環境整備を行うことになり選ばれたのが、サイボウズのkintoneだった。「インフラ環境の整備やセキュリティポリシーに合致しているかどうかといったことはシステム部門と連携しながら進めますが、現場に必要な環境は事業部門側で選定することが通例です。前職で扱ったことのあるkintoneであれば、ITツールに慣れていない現場にも適用しやすいと考えたのです」と柴田氏は当時を振り返る。

また、現場ではExcelをベースに運用されていたこともあり、現場に負担なく展開できるよう、Excelのイメージで確認できるようなツールを希望していた。「以前からExcelライクなインターフェースをkintoneプラグインとして実装できるものがあることは理解していました。現場にうまく浸透させるためにも、うまくプラグインを活用したいと考えたのです」と柴田氏。

情報の一括更新やExcelインターフェースが踏襲できるkrewシリーズ

そこで、前職からお付き合いのあったパートナーである株式会社アーセスに声をかけ、そこで提案されたのがグレープシティのkrewシリーズだった。「要件のなかに、現場の負担を最小限にするために営業報告は単一のアプリに集約し、その入力内容を他の部門が活用するアプリに自動反映させたいというものがありました。krewDataであれば、アプリ同士の集計や自動更新などが可能であり、まさにお客さまが求めていた環境が実現できると考えたのです」と株式会社アーセス の遠藤大輔氏は説明する。

株式会社アーセス 遠藤 大輔様
遠藤 大輔様
株式会社アーセス

もちろん、長年利用してきたExcel同様のインターフェースが実現できるkrewSheetも顧客が求める要求にマッチするため、krewシリーズがまさに最適だったという。実は自社でもkrewシリーズを業務に利用しているだけでなく、多くの顧客に提供していた実績もあり、サポートも含めてグレープシティには全幅の信頼をおいていたことも提案の大きなポイントだったという。

結果として、営業がインプットするべき商談情報を迅速に共有する業務基盤として、kintoneおよびkrewシリーズが採用されることになる。

株式会社アーセス 佐藤 友美様
佐藤 友美様
株式会社アーセス

【効果】現場に展開しやすい環境整備に重要な役割を果たすkrewシリーズ

kintoneおよびkrewシリーズが営業現場の情報可視化に大きく貢献

現在はヘルス&ビューティー事業に関わる全国の営業担当者およびマーケティング部門や生産部門なども含めて、430ほどのアカウントでkintoneを運用しており、100を超える数のkintoneアプリが作成されている。その中心となるのが、営業部門全員が利用するアプリで、BPレポートアプリ、店頭レポートアプリ、セット品・企画品積み上げアプリの3つが用意されており、krewDataやkrewSheetを活用して情報更新の自動化や使いやすい環境が整えられている。他にも特定顧客向けのPOPやボードといった顧客専用の販促物申請を行うオリジナル販促物依頼アプリや社用車の運行状況を管理するアプリなどもあり、一部は柴田氏自身がアプリ作成を行っている。チームごとに営業販促施策のポイントを集計するアプリでは、活動内容に応じて付与されたポイントを集計する際にkrewDataが活用されている。

同社では営業担当者をBusiness Planner(BP)と呼称しているが、取引先となる小売業の本部に対して行った商談情報を日報代わりに毎日入力するのがBPレポートアプリだ。このBPレポートアプリに商談情報の入力を集中させ、そこにさえ入力すれば他のアプリへ自動更新され、関連部門に必要な情報が容易に共有できるなど、ITに詳しくないBPでも負担なく運用できるよう工夫されている。このアプリ内では、商談内にて確定したセット品・企画品の責任数を入力し、責任数の合意に至った商談の進捗履歴が的確に記録されるため、管理側で商談進捗が把握できるようになる。

セット品・企画品積み上げアプリでは、BPが自己申告する顧客ごとの目標数を事前入力する運用となっており、従来Excelで行っていたインターフェースが踏襲できるよう、krewSheetが適用されている。BPレポート上で期日までに確定した責任数が、krewDataを使ってこのセット品・企画品積み上げアプリ側に自動的に反映されるようになり、当初の目標数と商談後に確定した責任数の差異が管理できるようになる。このアプリ上で確定した情報を、営業企画推進部が情報を集計し、生産部門に生産数量を通知する形になる。

BPレポートとセット品・企画品積み上げアプリの概念図
▲ BPレポートとセット品・企画品積み上げアプリの概念図

店頭レポートアプリは、ドラッグストアなどの店頭でのPOP展開や競合の動きなど現場での気づきを業務報告するもので、POPの差し替えや陳列作業など店頭で行った作業報告が、写真も含めて共有できるようになる。「我々は現場重視、店頭重視の意識を常に持っており、店頭の状況を的確に把握することが必要です。BPは担当外の店舗における活動状況を参考に、自身が担当する店舗にそのノウハウを生かすことが可能です」と柴田氏。現場重視の姿勢が強い同社だけに、他部門も含めて多くの人が店舗レポートアプリを閲覧している状況にあるという。

新たな環境で70%を超える業務負荷軽減に、商談プロセスの可視化も実現

今回kintoneとkrewシリーズを駆使して環境整備を行ったことで、以前はExcelで行っていた企画品やセット品の集計業務や目視によるチェック、未入力がある場合の担当者向けのリマインダー、締切タイミングに行っていたExcelファイルの編集不可など一連の業務に52時間あまりを要していたが、新たな環境に移行したことで14時間ほどにまで短縮でき、70%を超える業務負荷の軽減につながっている。「業務の効率化はもちろん、商談プロセスの可視化も実現しており、マネジメントの面でも効果が得られています」と柴田氏は評価する。スマートフォンから日報業務が実施できるだけでなく、krewSheetによって従来の運用を踏襲することで報告業務の負担軽減につながっているなど、営業担当者へのメリットも大きいという。

krewData/krewSheet導入による作業工数削減効果
▲ krewData/krewSheet導入による作業工数削減効果
現場への迅速な展開を支援し、切り替えハードルを下げてくれたkrewシリーズ

今回導入したkrewシリーズについては、現場への展開を容易にするだけでなく、アプリ間の集計業務などkintoneの標準機能では実現できない“かゆいところに手が届く”機能が備わっていると高く評価する。「ExcelライクなUIで現場の導入スピードを早めながら、従来運用からの切り替えハードルも下げてくれたのは大きい。正直言えば、krewシリーズはもっと世の中に広がっていくべきツール。私が“krewシリーズは素晴らしい”と世の中に発信したいぐらい」と柴田氏は力説する。なかでもkrewSheetの魅力については「Excelは万能で最強のツールとだと考えていますが、属人化してしまうという面ではデメリットもあります。krewSheetは、Excelのいいところを生かしながら、kintoneと一体化することでデメリットも解消してくれる、まさに最高のツールではないでしょうか」と柴田氏は高く評価する。

ディベロッパーの視点からも、krewシリーズは優れたソリューションだと評価も高い。「従来カスタマイズが必要だった領域の多くをプラグインで巻き取ることに成功しているkrewシリーズのインパクトは非常に大きい。しかも、krewシリーズは設定そのものがシンプルで、表示や操作もスムーズ。ストレスなく利用できる点で、素晴らしいソリューションです」と遠藤氏は力説する。

適用商材をさらに拡張していきながら、情報の可視化を促すkrewDashboardに期待

現在はシーズン商品という、ある意味スポット的な商材をターゲットにしているが、今後はNB(National Brand)品も含めた営業商談の進捗把握や調達数の申告にも展開していきたいという。「我々の商品は改廃しているものも含めて常時1200ほどのSKU(品目数)を扱っているため、全ての商品をこの仕組みに載せていくことは難しいものの、注力すべきブランド品や新商品などについては、kintoneとkrewシリーズの組み合わせで進めていきたい」と柴田氏。また、kintone上に蓄積された数字を可視化する環境づくりについても検討を進めており、krewDashboardに期待を寄せている。「情報の視認性を高めることで、出荷状況の進捗や商談情報のステータスを可視化したいといったニーズは高い。そこにkrewDashboardが適用できると考えています」と柴田氏。

実は営業部門だけでなく、すでに広報部門や人事総務部門、別事業部となる再生医療部門などがkintoneを活用している状況で、社内的にはkintoneが広がりつつある状況にある。「他の部署や他の事業部門が抱える現場の課題にkintoneやkrewシリーズが生かせるということを意識的に広めている部分もあります。すでに現場で紙やExcelで行っている業務をkintone化したいという声も寄せられているほど。今後もアーセスに協力いただきながら、kintoneやkrewシリーズを広めていきたい」と今後について柴田氏に語っていただいた。