導入事例

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日清食品グループ様

業種:
製造業

利用用途:
申請承認・情報共有

使用製品:
krewSheet

日清食品ホールディングス株式会社様 メインビジュアル

事例公開日:2020年11月13日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

kintoneでデジタル化を推進するための強力なツールに
Excelの使い勝手を踏襲したい現場から評価されるkrewSheet

日清食品グループでは、業務の生産性向上を図るためのさまざまな施策の一環として、これまで紙に捺印する必要のあった決裁業務や申請承認業務、工場内の業務報告書などの回覧をkintoneによってシステム化、あわせて開発部門のExcelによる進捗管理をkrewSheetに置き換えるなど、デジタルを活用したトランスフォーメーションの取り組みを加速させている。そんな同グループの新たな業務基盤としてkintoneを採用した経緯について、日清食品ホールディングス株式会社 執行役員 CIO 喜多羅 滋夫氏、情報企画部 次長 成田 敏博氏、および同部ガバナンスチームリーダー 植松 麻子氏にお話を伺った。

【課題】デジタルによるビジネストランスフォーメーションへの取り組みを推進

労働集約型の業務から脱却し、生産性向上に向けた環境づくりが急務に

インスタントラーメンを世に生み出した創業者・安藤百福の志を受け継ぎ、さまざまな「食」の可能性を追求し、夢のあるおいしさの創造を目指す日清食品グループは、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」を体現するべく、国内事業の収益力の更なる強化や海外事業の成長加速などを推進。強みである「技術イノベーション力」と「マーケティング力」を駆使し、カテゴリーNo.1ブランドの集合体としての「ブランディングコーポレーション」の実現を目指している。

そんな同グループでは、業務の生産性向上に資する、デジタルを活用したトランスフォーメーションの取り組みも積極的に推進している。「次の世代に受け継ぐためには、グループ全体で会社の在り方を継続的に変えていかなければならない。今は、まさに転換期に差し掛かっていると言えます。そのなかで、従来行われてきた労働集約型の業務から脱却し、エキスパートが活躍できる環境を整備しながら、デジタルを活用して生産性を高める施策に取り組んでいます」と現状について語るのは、CIOの喜多羅氏だ。

執行役員 CIO 喜多羅 滋夫様
喜多羅 滋夫様
執行役員 CIO
Excel業務をkintoneに展開する際に課題となった操作性

生産性向上に向けて改善すべき、労働集約型業務の典型例として挙げられたのが、数多く残っている紙の業務だった。「紙の決裁書に捺印するハンコ文化が根強く残っており、これを改善することが生産性向上につながると考えたのです」と喜多羅氏。実は、当初はドキュメント管理を中心にワークフローが構築できる仕組みを導入したものの、社内へ思うように浸透しなかったという。そんな折、IT業界でのキャリアが豊富な成田氏が同グループにジョインし、新たな環境づくりを主導することに。そこで選択されたのが、快適なレスポンスや直感的な操作感など成田氏が重視した“手触り感”のよいkintoneだった。

kintoneを生産性向上に役立つ基盤として採用し、紙で行ってきた業務の電子化に着手した同社だが、商品開発部門が長年にわたって運用してきたExcelによる商品開発のプロセス管理の改善にも着手することに。「1つの商品を開発するためには、さまざまな部門を経由して業務が流れていきますが、各部門で個別にExcelを使って管理しているものが多くありました。同じような内容でもフォーマットが異なっていることで、情報の共有がうまくできていなかったのです」と成田氏は説明する。そこでkintoneで標準化していくのにあたり、使い慣れたExcelでできていたことがkintoneでは実現できないなど、操作感に関する課題が顕在化したという。

【選定】Excelの使い勝手そのままにkintone上で再現、現場からの反響も大きい

そんな課題を解決するべく成田氏が注目したのが、Excelの操作性をkintoneで再現できる、グレープシティの「krewSheet」だった。「現場を巻き込んでExcelで行っていた業務をkintoneで置き換えようとしても、今までのような操作感が再現できないと現場に受け入れてもらえない可能性もありました。krewSheetであれば、まさにExcelの使い勝手そのままに、kintone上で情報共有することが可能です。初めてkrewSheetのサンプルに触れたときは、一覧機能をここまでカスタマイズできるのかと私自身驚きました」と成田氏。そして実際に商品開発部門のメンバーにkrewSheetを見てもらったところ、まさにこれを求めていたと現場からの反響が大きかったという。

krewSheetであれば、従来の利便性を維持したまま、関係者間での共有や情報の制御、リマインダーの自動通知など、これまで手作業で行ってきたことがkintoneによって自動でできるようになる。「kintoneを補完するプラグインとして、まさに我々が求めていたものだったのです」と成田氏は高く評価する。実は理系の人材が中心の商品開発部門だけに、Excelにしても様々な関数を駆使して作り込まれたものが多数あったという。「krewSheetを使えば、従来の複雑な関数も再現できますし、kintoneの権限付与によって閲覧範囲を制限するなど、他部門に抵抗なく情報共有できると考えました」と植松氏は力説する。

情報企画部 次長 成田 敏博氏 ガバナンスチームリーダー 植松 麻子氏
成田 敏博様
情報企画部 次長
植松 麻子様
情報企画部 ガバナンスチーム リーダー

結果として、Excelの使い勝手を踏襲したい業務に最適な、kintoneを補完できるプラグインとして、グレープシティのkrewSheetが採用されることになる。

【効果】

申請承認業務や回覧業務、Excelでのプロセス管理をkintoneにて実装

現状は、紙で行ってきた業務の電子化に着手しており、決裁書や総務や人事で受け付けている申請書類などの承認業務のデジタル化に向けて、kintoneによるワークフロー構築を今年度中に実施する計画だ。また、システム監査の証跡管理や工場内の業務報告書類の回覧におけるデジタル化も進められている。現在はマスターも含めて70ほどのアプリを作成、運用しており、毎月十数個の単位でアプリの数が増えるなど、現場へ広く浸透しつつあるという。なお、現在は同グループの中核企業である日清食品を中心に導入を進めており、他の主要グループ企業5社への展開も含め、最終的には2800人ほどが利用する基盤となる予定だ。

従来のExcel業務のシステム化にあたり、krewSheetが強力なツールに

krewSheetについては、Excelによる商品開発のプロセス管理をkintone上のkrewSheetによって統合し、関係者間で情報共有するための環境づくりに取り組んでいる。即席めんなどの商品開発プロセスでは、商品の構成上欠かすことのできない麺やスープ、具材や包材といった、各領域の開発担当者がそれぞれ設けたステップごとに開発が進められており、商品をローンチするまでのプロセスも含めてExcelで管理されていた。そうしたExcelをkrewSheetに集約することで、ステータスの状況把握やリマインダーの通知が自動化できるなど、業務の生産性向上を目指しているという。

調査票アプリの導入効果
▲ kintone +krewSheetで商品開発プロセスを統合管理

Excelを利用する業務の改善要望が上がってくる部門にkrewSheetを紹介すると、ここまでできるのかと驚かれることが多く、今後のさらなるkintoneの利活用に向けて強力なツールになると期待を寄せている。「Excelライクな操作性や一覧機能を強化したいという部門があれば、その都度紹介しています。Excelで行われてきた業務が多い分、kintoneを展開するための強力なツールになっているのは間違いありません」と成田氏は高く評価する。

「Excelの知識を持っている現場の人は、簡単なExcelマクロを作ることもあります。でも、その人が異動や退職してしまった場合、その野良Excelごと業務を引き継がなければならず、現場は苦労してしまうもの。しかしkintone上で使えるkrewSheetであれば、属人的な管理から脱却することができ、助かる現場の人が増えてくることは間違いありません」と植松氏。権限の管理や制御が可能なkintoneとkrewSheetの組み合わせによって、現場の利便性を向上させることができると氏は評価する。

データ活用の幅を広げながら、自発的なグローバル展開への期待も

今後については、これまで紙やExcelを使って行ってきた業務をさらにkintoneやkrewSheetに展開していきながら、データ活用の幅を広げていきたいという。「周辺システムとkintoneを柔軟に連携させることで、業務の生産性向上につながる取り組みを今後も加速させていきたい」と成田氏は力説する。また、紙による運用だったためにデジタル化されていなかった情報をデータ化することで、業務を可視化していくことにも期待を寄せている。「例えば業務のリードタイムや業務の負荷といった、これまで見えていなかったものが把握できるようになれば、そのデータをうまく活用していけるはず」と成田氏。

なお、グローバルにビジネスを展開している同社では、今回のkintoneによる業務改善の話を聞き、海外法人でもニーズが急速に高まっているという。「海外法人でも紙の業務が数多く残っており、厳格なロックダウンが継続しているなど日本よりもコロナ禍の影響を受けている国も少なくありません。中国や米国などを中心にkintoneやkrewSheetを活用してデジタル化を進めたいという話が自発的に出てきている状況です」と今後のグローバル展開についても成田氏は期待を寄せている。