導入事例

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学校法人光星学院

業種:
教育・学習支援

部署:
その他部門

利用用途:
経理管理/入試管理/校務管理

使用製品:
krewSheet/krewData

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事例公開日:2022年4月1日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

使いやすいインターフェースで展開を容易に、自己学習での学びが深めやすい。学校法人全体の業務課題に応えるkintoneを強力に支援するkrewシリーズ

青森県八戸市に本部を置き、大学・短期大学や高等学校、幼稚園を運営している学校法人光星学院では、10年以上利用してきた支払申請業務用のMicrosoft Accessをサイボウズのkintoneにて刷新、申請アプリ内の情報を残高管理アプリに反映させるなどアプリ間の連携やデータ集計などにkrewシリーズを採用している。その経緯について、総務部 財務課 情報システム室 主任 出町望氏にお話を伺った。

【課題】ブラックボックス化したMicrosoft Accessから脱却を目指す

1956年に設置した光星学院高等学校を契機に、「敬神愛人」を建学の精神に掲げて設立された学校法人光星学院。青森県八戸市を中心に大学・短期大学や高等学校、幼稚園を運営しており、5つのキャンパスに2,500名前後の学生が在籍している。地域に根ざした学院づくりに向けて法人内すべての教育機関に「八戸学院」を冠とする校名変更を行うなど、地域密着型の教育機関として立体的学園構想を推進。野球やサッカーなどスポーツも盛んで、プロスポーツ選手も数多く輩出している。

そんな同学院では、物品を購入する際に支払申請を印刷する帳票出力の仕組みをMicrosoft Accessにて構築しており、その仕組みがキャンパスごとに設置されていたが、裏側でVBAを駆使した複雑なマクロが動いていた。すでに開発者は退職していたことで誰もメンテナンスできない状況が続いていたという。

「不具合が起きたときは、バックアップされたAccessのファイルを再度活用してもらうだけでなく、数時間かけて遠いキャンパスに環境を再整備しに赴くなど、非常に手間がかかっていたのです」と出町氏は当時を振り返る。そんな環境を脱却するべく新たな仕組みを検討することに。

同学院では現場が主導してシステムを導入するケースが多く、Accessに代わるいくつかのソリューションを検討していたが、出町氏が所属する情報システム室にも相談が寄せられたという。「当初は導入していた教育機関向けの会計パッケージが持つ分散入力システムへの刷新を検討したようですが、コスト的に高額で簡単に投資できない状況でした。そこで経理担当者から何か方法はないかと相談されたのです」と出町氏。

総務部 財務課 情報システム室 出町 望様
出町 望様
総務部
財務課 情報システム室
支払申請を管理するAccessに不具合があると、現場に直接出向いて再整備
▲ 支払申請を管理するAccessに不具合があると、現場に直接出向いて再整備

【選定】kintoneの使い勝手をさらに高めるための必要不可欠だったkrewシリーズ

そこで出町氏が提案したのが、サイボウズが提供するkintoneとグレープシティが提供するkrewシリーズによる仕組みづくりだった。kintoneは出町氏が図書館スタッフだった頃、サイボウズのイベントに参加した時に興味を持ち、図書館業務に採用した実績があったのだ。

「もともとGaroonの情報を収集するためにイベントに参加した折にkintoneを知りました。現場の業務課題に応えるアプリを多くのユーザー企業が紹介していたことで、図書館の業務効率化にも役立つと考え、Excelで記録していた来館人数をkintoneに移行した経験があったのです。今回相談された仕組みも、kintoneで簡単に構築できるのではないかと考えました」。

従来のAccessで行っていた仕組みだけでなく、各部門の予実管理や大学の研究室における研究費の残高確認など、現場個別に行っていたアナログな経理業務も含めてシステム化を検討した出町氏だが、アプリ間をまたぐデータを処理するにはkintoneの標準機能だけでは難しいと判断。そこで、支払申請の入力アプリから予実管理へのデータ連携など、複数アプリ間の連携や入力したデータを別アプリに展開する仕組みとして、krewDataが必要になったという。

「kintoneのイベントで一般企業の会計処理でkrewDataを利用している事例を聞き、複数アプリ間のデータを集約してデータ集計するといった業務に向いていると感じていました。大学や高校など複数の組織がそれぞれ支払申請を行うため、データを引っ張ってくる処理などに役立つと考えたのです」と出町氏。

もともとエンジニアではない出町氏にとって、プログラミングせずともアイコンをつなぎ合わせてフローが設計できるkrewDataは初心者にも十分扱えると判断。「もし私が異動しても、次の人も処理が分かるためブラックボックス化しません。krewDataにあるメモ機能に処理内容を記載しておくこともできるため、初心者にもやさしい仕組みが整備できます。自己学習コンテンツであるkrewDataドリルもあるため、誰にでも学ぶことができる点を高く評価したのです」。また、Excelライクなインターフェースを持つkrewSheetがあれば、現場への展開もスムーズに実施できると考えたのだ。

そこで、経理部門に対してkintoneおよびkrewシリーズで作成したプロトタイプの支払申請アプリを作成したうえで現場に見せたところ、現場から評価の声が寄せられた。そこでAccessで構築された支払申請の仕組みを、kintoneとkrewシリーズを組み合わせて刷新することが決定されたのだ。

【効果】充実した学習コンテンツが魅力のkrew、法人内業務のkintone化に成功

■ 経理業務はもちろん、入試管理をはじめとした学務部が必要なアプリもkintone化

各部門が使う支払申請は、各拠点に在籍している担当者が支払登録アプリに申請内容を入力することで、支払実績アプリに実績が蓄積され、この蓄積された情報をベースに、各種提出書類や部署ごとに割り当てられた予算に対する実績状況を確認する予実管理アプリなどに展開、研究室や部活も含めて割り当てられた予算と現在の残高や予算の執行状態などが把握できるようになっている。「支払実績内のデータを集計して他のアプリに展開する際にkrewDataを活用しており、その結果をkrewSheetにて確認してもらうというのがkrewシリーズの主な使い方です」と出町氏。

現場の経理担当社が支払い登録アプリに入力するだけで、経理業務に必要なデータを自動で集約・集計
▲ 現場の経理担当社が支払い登録アプリに入力するだけで、経理業務に必要なデータを自動で集約・集計

全ての情報がkintone内に集約できたことで、各現場の上長が財務課に問合せせずに残高確認などが行えるようになっている。各現場で入力した紙幣や硬貨の数をkrewDataで集計して金種表を自動作成するなど、手作業で行ってきた業務の自動化も進んでいる状況だ。なお、振替伝票の情報もkrewDataで計算されたものが出力可能となっており、CSVにて学校会計システムに連携できるようになっている。

支払実績アプリから金種表をkrewDataで自動作成するデータフロー。コメントで処理内容を解説している
▲ 支払実績アプリから金種表をkrewDataで自動作成するデータフロー。コメントで処理内容を解説している

経理以外の使い方では、例えば学務部では、紙で出願された願書の情報を記録し、krewSheet上から入試の結果を入力したうえで出力し、判定会議などの資料として活用する入試管理アプリを運用している。

「以前は複数の情報を集めてPDFを作成し、それを出力して張り合わせて1枚の判定会議資料を作成するとった手間のかかる作業が発生していました。今はkrewSheetの一覧画面から科目得点の入力といった情報編集も容易ですし、アカウントを持っていない方に対しては印刷するだけで会議資料がすぐに準備できます。ちょっとしたことではありますが、Excelと違ってkrewSheetはヘッダーが簡単にデザインでき、そのままの形で帳票出力できるため便利に使っています」と出町氏は評価する。

また、学部学科単位の受験者数や合格者数などの情報も入試管理アプリの情報をkrewDataにて加工し、グループウェアであるGaroon上に公開、Garoonアカウントがないメンバーに向けてはkintone連携サービスのkViewerで公開している。

krewSheetで設定した入試管理アプリの画面
▲ krewSheetで設定した入試管理アプリの画面
支払管理業務の予実管理にkrewSheetを適用し、年度ごと、部門ごとに予実を確認しやすくしている
▲ 支払管理業務の予実管理にkrewSheetを適用し、年度ごと、部門ごとに予実を確認しやすくしている

現在、総務部財務課と学務部に在籍する事務職員を中心に30名前後がkintoneを利用しており、財務課では経理を担当する財務課関係のアプリを中心に、学務部では学籍情報や入試管理など学務部が活用するアプリなどを運用。他にも、図書館業務や高校と幼稚園の制服販売などもkintoneアプリで管理している。krewDataはデータの加工や集計などの処理に活用し、データの一括編集などを行うアプリについてはkrewSheetが適用されている。スポーツ推薦などで入学した場合に割引率を加味した学費計算などシンプルな計算はkrewSheet上の関数を用いて管理している状況だ。最終的には学生支援を行う学務部全員にまでkintoneを展開していくとのこと。

■ 業務のスピードアップに貢献、krewを学ぶコンテンツの充実を高く評価

kintoneおよびkrewシリーズによって業務基盤を整備したことで、業務のスピードアップに大きく貢献しているという。「以前は個々にデータを抱えており、電話やメールで情報確認して残高情報を把握することも必要でしたし、先生によっては残高不足の状態で申請してきてしまうなど、現場との経理担当者とのやり取りが頻繁に発生していました。今はkintoneおよびkrewシリーズによって情報がその場で把握でき、やり取りが発生しなくなっています。申請書もコピーして保管するなどの手間がありましたが、今はペーパレス化が進み、紙を保管するバインダーも半分以下で済んでいます。経理担当者も10名ほどで回していましたが、今は7名ほどで運用できるようになり、付加価値の高い業務に振り分けることが可能になりました」と出町氏は高く評価する。過去の入力情報も共有できており、二重申請などのミスも減っている状況だ。

kintoneを現場に展開する際には、裏側で処理を行うkrewDataのデータ編集フローの画面を見せながら、どのようにデータが蓄積、処理されていくのかを懇切丁寧に説明し、現場の理解を深めていったという。

「従来のAccessとの違いも含め、入力されたデータがどうシステムに反映されるのかといったデータの取り扱い方については説明する機会を設けるなど、現場に浸透させるためにいろいろ工夫しました。何かあれば支払申請担当者や経理担当者と3者が集まってミーティングを重ね、その場でアイデアがあればすぐに反映するなど使い勝手のいい仕組みを徐々に作り上げていったのです」。エンジニア出身ではない出町氏自身も、参考書を読んでデータベースの考え方について学んでいきながら、データの扱い方における基礎を自己学習していったという。

使い勝手の面では、Excelライクなインターフェースを持つkrewSheetが大きく役立っている。「Accessからの移行で当初はすごく心配していましたが、入力インターフェースが使いやすいため、すんなり受け入れてもらえました。krewSheetのおかげで、問い合わせやクレームなどもほとんど来ていません」と出町氏。krewDataについては、細かいメモ機能でフローの概要を記載しておけるなど、ITに詳しくない初心者に対して優しいつくりになっていると高評価だ。「krewDataを学ぶ際にも、各種セミナーに参加したりドリルから学んだりなど、いろいろな学習方法があることはとても助かっています。私のような素人だと伝わりにくい内容の問い合わせもうまくくみ取っていただき、すぐに回答いただけています」と出町氏。

特にkrewDataドリルについては、自己学習のためのコンテンツとして有益で、きめ細かいところまでが情報として入手できるなど、krewDataを使う人に対してお勧めできると出町氏は力説する。「一気に全部やらなくとも、必要なところだけをチョイスして学ぶことができます。普段使わないような関数の詳細まで触れていて、Excelの関数を学ぶ教材としても助かっています。krewDataを使う方なら絶対にやった方がいいと思います」。またkrewのマニュアルについても使い方が丁寧にまとめられており、krewをうまく使いこなすために大いに役立っていると評価する。

krewDataの学習支援コンテンツ。基本編と応用編により使い方を幅広く学習できる
▲ krewDataの学習支援コンテンツ。基本編と応用編により使い方を幅広く学習できる
■ 公務システムの受け皿としての広がりも含め、現場とともに作り上げていきたい

現状は経理担当者の業務がひと段落した状況で、今後は大学における校務システムの刷新に向けて、kintoneおよびkrewシリーズをフル活用していきたいという。

「現状運用している校務システムの使い勝手に課題があり、なかなか使いこなせていないことがヒアリングするなかで明らかになっています。別システムと連携している部分があるため完全に入れ替えることは難しいものの、使い勝手の悪い部分はkintoneでうまく巻き取っていきたい。また、保護者へ配布する資料作成など、データ活用の場面でkrewが必ず必要になってくるため、積極的に活用していきたい」と出町氏。他にも、幼稚園における業務内の情報共有基盤としてもkintoneの輪を広げていきたい考えだ。

手入力業務の軽減に向けた取り組みも検討しているという。「現状入試管理アプリへのデータ投入は手作業で行っていますが、今後はWeb出願できる環境をFormBridge(フォームブリッジ)で整備し、kintoneに取り込んだうえでkrewSheetにて管理していきたい」と意気込みを語る出町氏。

今後も法人全体の業務改善につながる環境づくりには関わっていく予定だが、オーナーとしてプロジェクトを推進するというよりも、現場とミーティングを重ねながらサポートしていく形でkintoneを広げていくという基本的な考えは堅持していきたいという。

「これまで大規模な仕組みを導入して、結局使われなくなってしまった仕組みもあります。現場に強制するような仕組みではなく、一緒になって作り上げていけるような進め方をしていきたい。そのためのツールとしてkintoneやkrewが欠かせないものになってくるはずで、今後も期待しています」と出町氏に今後について語っていただいた。