導入事例

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エン・ジャパン株式会社様

業種:人材サービス業

部署:営業・セールス

利用用途:顧客管理/案件管理/業績レポート

使用製品:krewSheet/krewDashboard

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事例公開日:2022年10月4日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。
※ 写真撮影時のみマスクを外しています。

kintoneに直接触れる機会を加速させる起爆剤として劇的な効果
現場にとってkintoneを“日常”にするkrewシリーズ

人材採用や入社後活躍の支援を手掛けるエン・ジャパン株式会社では、事業拡大に伴って進めてきた業務改革の基盤としてkintoneを採用し、現在では全社で利活用が進んでいるという。また、kintoneを業務基盤として現場に定着させるためにkrewシリーズを導入、進捗管理や強力なレポーティングツールとして積極的に活用している。kintoneとkrewの導入経緯について、事業推進統括部 事業管理部 部長 高橋 淳也氏にお話を伺った。

【課題】事業急成長の過程で組織変革や業務フローの見直しが必要に

日本最大級の総合求人サイト「エン転職」をはじめとした社会人向け転職サービスや新卒・派遣の求人情報サイト、人事向けサービスなど、人材採用や入社後活躍の支援につながる各種支援を行うエン・ジャパン株式会社。昨今では、中央省庁の幹部候補や自治体の副市長やDX人材、スポーツ団体・志ある企業の中核メンバーなど社会課題の解決に貢献する人材の採用支援に特化した「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」に注力している。募集時の告知から特設ページの作成、選考プロセスから入職後の活躍に至るまでをトータルで支援する点を評価され、実績を積み上げている。またHR Techプロダクトとして、採用ページの無料作成や応募者対応・選考プロセス管理といった、採用に欠かせない機能が備わった採用支援ツール「engage(エンゲージ)」など、企業の採用支援における強力なサービスも提供。

そんな同社では、2014年から5年で4倍の売上を創出。戦略に紐付いたSX(セールストランスフォーメーション)に積極的に取り組み、急激な事業成長を遂げた。その過程で組織変革や業務フロー変更などが求められたという。高橋氏が当時所属していたのが、中途求人メディア事業部の制作部。転職サイト「エン転職」の求人原稿制作に担う部署だ。急激な案件増加に対応するため、アシスタント組織を立ち上げ、制作部内の分業を進めていたと当時を振り返る。

「組織変革を進めるためには、メンバーの業績管理や案件ごとの進捗管理、ワークフローなどの基盤が必要です。当初はExcelでやりくりしていましたが、Excelが壊れて現場が混乱するなど、業務に支障が出ていました。たとえば、家庭用のフライパンで学校給食の大量調理はできない。組織規模や扱うデータ量を考えた時に、Excelでは無理があると判断したのです」。

事業推進統括部 事業管理部 部長 高橋 淳也様
高橋 淳也様
事業推進統括部 事業管理部 部長

そこで、非エンジニアでもアプリを開発できる「kintone」を検討。システム部門が背中を押してくれたこともあり、制作部で導入を決断。手始めにシンプルに実装できる実績管理の仕組みを構築したところ、月間200時間の工数削減ができたという。この成功体験を機に制作部ではkintoneによる仕組みづくりが進み、現在ではほぼExcelによる業務はなくなったという。

【選定】営業部門へのkintone定着を実現する手段として注目したkrewシリーズ

■営業部門への展開のためにkintoneの入力負担を下げることが課題に

制作部でkintoneを定着させた高橋氏は、2019年に制作部から同事業の企画部に異動。kintoneを活用した業務改善を事業部全体に提案する機会に恵まれた。そこで、まず目を付けたのが、「顧客情報の定期メンテナンス」だったという。求人・求職はあらゆる業種・職種で行われるため、管理している顧客数は膨大。定期メンテナンス時には、システムに作業が集中するなどの課題があったという。

「営業部の業務を円滑に遂行するなかで、定期的に顧客情報を更新することが必要でした。事業の急速な拡大期で顧客数、営業メンバーともに増加。既存のSFA上に構築した仕組みは動作が重く、自分の担当する複数企業の情報をまとめて更新できないことが課題になっていました。そこで、制作部内での実績を踏まえ、kintoneで仕組みを整備することにしたのです」と高橋氏。

しかし、kintoneという新たなツールが加わったことで、営業部の現場から入力負担に対する改善要望が寄せられることに。

「スピード優先で、kintoneで顧客情報を更新するアプリを作成しました。実運用で出てきた課題が、kintone標準のインターフェースです。編集や更新作業に時間がかかってしまう。営業はSFAの他にも業務遂行のために、複数システムへのデータ入力が求められています。その上kintoneが加わることで心理的な負担もありました。営業部は人数も多く、全員の理解度を上げるのが難しい状況でした。kintone本体でできる工夫はしましたが、現場にとって最適なものにはならなかったのです」と高橋氏。

営業部の現場から入力負担に対する改善要望
■“いつもと同じ”という安心感をもたらしてくれるkrewシリーズ

実は、一部の営業業務では、kintone連携サービス「フォームブリッジ」などを駆使。Web画面からkintoneにデータを入力させることで、営業メンバーにkintoneを意識させない仕組みは存在していた。しかし、高橋氏は、定期メンテナンスの課題解決に向けて試行錯誤を続けるなかで、「kintoneを業務基盤として事業部全体に定着させていくこと」を視野に入れていた。そのためには、kintoneに直接アクセスする使い方にシフトすべきだと決断。そこで目を付けたのが、グレープシティが提供しているkrewシリーズだった。慣れ親しんだExcel風にkintoneが扱えるプラグインとして、動作の安定性と使い勝手の高さからkrewシリーズに着目したという。

特にkrewシリーズに期待したのは、普段から使い慣れた環境であり、ある意味で“日常”だった。「営業からすれば、新しいものを使っていないということが一番の安心材料。言い換えれば、普段から食べている“ご飯とお味噌汁”である必要があった。kintoneをExcel風に使えるkrewシリーズであれば、心理的な不安解消につながると考えたのです」と高橋氏。

こうして、入力インターフェースの不安解消にkrewSheetを用いることを決め、営業部に提案。「Excelのように情報更新ができるのであれば」とスムーズに承認されたという。あわせて、進捗把握のためにkrewDashboardも導入。定期メンテナンス期間中に毎朝Excelを加工して進捗状況をレポートしていた事務作業を削減した。

「kintoneに直接触れてもらうためのインターフェースの課題と、それを分かりやすく可視化するという、現場のペインポイントを解消できるツールとしてkrewシリーズはとても有用だと思います」「。と高橋氏はいう。

インターフェースの課題と、それを分かりやすく可視化するという、現場のペインポイントを解消できるツールとしてkrewシリーズ

【効果】kintoneを使う・作るための学習コストや使い勝手の負担軽減に貢献

■ 基幹システムの周辺でkintoneを活用、営業メインのアプリの多くがkrewを適用

エン・ジャパンでは、事業部ごとにkintoneを導入しており、複数ドメインで運用。高橋氏が所属する組織では、求人サイト事業に関わるほぼすべての社員がkintoneおよびkrewシリーズを利用している。

情報システム部門がSFAやCRMをはじめ、販売管理といった基幹システムを管轄。その周辺業務でkintoneを活用している。具体的には、リード管理やアシスタントへの業務依頼、実績管理、業務委託(パートナー)の請求管理、営業の評価管理、各種申請、ナレッジ共有など、その用途は多岐にわたっている。krewシリーズは、マスター系のアプリも含めてkintoneアプリのなかで2~3割が適用されている状況。営業がメインで利用するアプリはほぼすべてkrewシリーズが適用されているという。

「営業部門や企画部門から相談がある場合、『Excelのように使えますか』という相談から始まるケースがほとんどです。これはkrewSheetが現場に浸透している証拠ではないでしょうか」と高橋氏。

■ krewSheetとkrewDashboardの組み合わせで工数削減と売上アップに効果

ここでkrewシリーズの具体的な効果について目を向けてみよう。前述の「顧客情報の定期メンテナンス業務」では、krewSheetによりCRM上の情報を参照できるURLや進捗状況を一覧で入力できるようになった。これにより、入力負担が大幅に軽減。さらに、krewDashboardで進捗状況をリアルタイムで可視化できるようになり、抜けや漏れがすぐに把握できるようになったという。

「kintoneの標準機能でメンテナンスしていたときに比べ、krewSheetに切り替えたことで1257時間もの効率化に貢献していると試算されています。人件費を考えてもすぐにkrewシリーズの導入費用をペイできました」と高橋氏は説明する。

krewSheetの実装画面

ほかにも、「効果進捗レポート」というアプリでkrewSheetを活用。これは、転職サイトに掲載した案件の効果状況を把握し、注視が必要な案件を特定して管理する仕組みだ。案件ごとの基礎データはCSVにてkintoneにインポートし、実績や進捗をkrewSheet上で更新。営業メンバーはもちろん、管理職側がリアルタイムで状況を把握できるようになり、適切な打ち手を講じられるようになっている。

インターフェースの課題と、それを分かりやすく可視化するという、現場のペインポイントを解消できるツールとしてkrewシリーズ
■ まさにレポート革命!10種類以上のExcelレポートを自動化したkrewDashboard

エン・ジャパンでのkrewDashboardの活用は主に2つのパターンがある。1つは「顧客情報の定期メンテナンス」のように、入力した情報をリアルタイムに可視化して全体を把握するという使い方。もう1つがレポーティングに特化した使い方だ。

「krewDashboardの価値は、kintoneのデータをリアルタイムで集計でき、それがExcelと同じような設定でグラフやピボットテーブルを作成できる点です。社内にデータレイクのようなデータを蓄積する環境がないことが課題だったため、kintoneをデータ置き場として活用。ダッシュボードとして各種の営業指標を可視化する際にkrewDashboardを適用することで、レポートシステムを構築しました」と高橋氏は説明する。

具体的には、商談から受注、納品、販売管理までの業務プロセスの流れの中で各データは、SFA/CRMを始めとする複数の専用システムに分散されて格納されている。これらのシステムから架電数や訪問数、商談件数といった営業進捗などのデータを抽出し、毎日Excelで加工して10種類以上のレポートを配布していたという。

導入効果

この情報をkintoneに格納したうえでkrewDashboardのタブ切り替えによって簡単に営業担当者別の活動量や売上および納品状況などがつぶさに把握できるようにしたのだ。ほかにも、エン転職を利用した企業に対して行った満足度の把握にも活用。顧客や営業担当者別にNPSが経年で可視化できるため、その改善に向けた施策に取り組みやすくなっているとのこと。

「自社のSFAにレポート機能を内製する方法もありましたが、営業は状況によって見たい指標が変わるため、柔軟に対応できるようExcelでの運用を余儀なくされていました。kintoneであれば顧客情報などのマスターを保持でき、メンテナンスも容易です。社内では『レポート革命』と名付けていますが、kintoneとkrewDashboardでExcelからの脱却を実現した好例です」と高橋氏は評価する。「レポート革命」では、従来Excelで実施してきた各種レポート業務をkintone上に集約できたことで、月312時間、年間で3600時間の工数削減を実現するなど大きな成果につながったという。

導入効果

さらに、高橋氏はkrewDashboardについては開発の容易さについて、次のようなメリットがあると考えている。

krewDashboardは、kintoneの知識がなくてもExcelスキルがあればkintoneのデータをグラフ化したり、ピボットテーブルにしたりしてレポートをWeb化できます。データの基になるアプリを参照するだけなので、krewDashboardでどんな編集をしてもkintoneアプリは壊れません。データ管理の観点からも社内のExcel好きに安心して試してもらえます。基盤(kintone)とプラグイン(krewDashboard)が入れ子になったような感じですが、Excelの得意な社員がkrewDashboardを扱えるようになることは、人材活用とkintone定着、双方に利点があると思います」。

■ krewシリーズの最大効果は安心感の醸成、kintone普及のための重要なツールに

krewシリーズを導入した最大の効果は、何よりも“安心感”だと高橋氏は力説する。

「まるでExcelのように使える、慣れ親しんでいる環境が用意できたことで、新たに覚えなくていいという安心感をもたらしているのが最大の効果です」。製品やサービスの市場への普及率を示すイノベーター理論※1でいえば、kintoneを普及させるには、メンバー数が多い営業部門にkintoneを受け入れてもらう必要があります。安心感の醸成は多くの人を動かすために必要で、krewシリーズがkintoneを普及させるためのキーになっています」と高く評価する。
※1新しいサービスや製品は、集団の16%以上が使い始めないと全体に普及していかないというマーケティング理論

krewシリーズについては、Excelそのままの入力画面とグラフ作成感覚で、楽しんで触れることができるツールであり、新しいシステムのユーザーインタフェースを受け入れにくい現場との橋渡しになっていると高橋氏は考えている。アプリ開発者の視点でも、新たなプラグインを導入すると設定の癖などを学ぶ必要があるが、Excelと同じ感覚で特別に覚える必要がない点も魅力の1つだと力説する。「使う側も作る側も、学習コストや使い勝手の負担が軽いところが良い」と高橋氏。

グレープシティについては、ユーザーサポートが充実している点が魅力だという。krewの製品サイトに用意されているデモも感覚がつかみやすく、「活用応援サポート」ページでは、学習フェーズごとにさまざまな学習コンテンツが紹介されていると評価が高い。ユーザーに対するこうした姿勢について

「ツール導入の際には運営元を確認します。中長期的な視点での、安定運用と変化対応のバランスです。たとえば、プラグインの提供企業がサービスにどう向き合っているのか、資本は安定しているのか、アップデートはしっかり実施されているのかを確認します。エンタープライズ企業のパートナーとして、グレープシティの姿勢や取り組みに安心感を覚えています」と高橋氏は語った。

現在さまざまな業務でkintoneおよびkrewシリーズを活用しているが、今後は、これまで以上にkintoneを社内メンバーに直接使ってもらうシーンを加速させていきたいという。

「DXの目的は、競争優位性の獲得にあります。そのなかで内製開発は重要な武器であり、開発基盤としてkintoneをフル活用していきます。その際、インターフェースがますます重要になり、リアルタイムの情報を可視化していくシーンも増えてくるはず。今後もkrewシリーズをフル活用していきたい」と今後について高橋氏に語っていただいた。