導入事例

NPO法人チャリティーサンタ様ロゴ

NPO法人チャリティーサンタ様

業種:
医療/福祉

利用用途:
応募者の登録と集計管理

使用製品:
krewSheet/krewData

NPO法人チャリティーサンタ様 メインビジュアル

事例公開日:2021年11月15日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

予算の厳しいNPO法人にも負担の少ないスポット契約を可能に
Excelに慣れた現場へのkintone導入に不可欠だったkrewSheet

ボランティアがサンタクロースに扮して家庭にプレゼントを届けるサンタ活動と、寄付による子供たちへの支援活動を行っている特定非営利活動法人チャリティーサンタ。kintoneを中心に家庭からの依頼状況やボランティアスタッフの管理およびマッチング業務を行っており、現場への展開に不可欠な使い勝手を確保するべく、グレープシティが提供するkrewSheetおよびkrewDataを活用している。その経緯について、ITチーム 青山 恭隼氏にお話を伺った。

【課題】Excelによる情報管理によって運用が属人化するなど課題が顕在化

「あなたも誰かのサンタクロース」を合言葉に2008年から活動をスタートさせた、日本発祥の団体である特定非営利活動法人チャリティーサンタ。サンタクロースに扮したボランティアが家庭にプレゼントを届けるサンタ活動とともに、サンタ活動の際に家庭から預かったチャリティー金で世界中の子供たちに支援を行うチャリティー活動を行っているNPO法人だ。

現在は、社会調査や企業との協働、寄付付き商品の開発といったさまざまな活動を行っており、その活動は27都道府県39支部にまで広がりを見せている。2020年末時点で、延べ1万5千人以上の大人がサンタクロースとして活動し、そして4万人を超える子供たちにプレゼントを届けている状況にある。

チャリティサンタクロース公式サイト
▲ チャリティサンタクロース公式サイト

そんな同法人では、サンタクロース派遣の依頼やボランティア募集に関する受付環境を独自で構築しており、以前は管理画面から各支部のメンバーが応募結果をCSVにて落とし込み、Excelに転記したうえで管理を行ってきたという。「単純にExcelに転記するだけでなく、支部によっては関数を駆使してマクロにて業務の効率化を図っているところも。支部ごとにオリジナルな環境で運用するなか、家庭からのご依頼件数も増えてきたことで、Excelを管理するための工数が大きく膨らんでいました。なかにはExcelが壊れてしまうなど、運用上のさまざまな課題が顕在化していたのです」と青山氏は当時を振り返る。
サンタクロース派遣の依頼があった家庭に本部からクリスマス直前にメールを送る際にも、事前にキャンセルを受け付けた支部側の状況が把握できず、情報が一元管理できていないことで運用上支障が出るケースも。そんな状況を改善すべく、新たに情報が円滑に共有できる基盤の整備が急務となったのだ。

スタッフの作業負担
▲ 独自実装の受付管理では、Excelによる集計が必要でスタッフの作業負担が膨大

【選定】“予想以上にExcel”だったkrewSheetがkintone導入に不可欠だった

予算が十分に確保できる一般企業とは違い、財政的に厳しい状況にあるNPO法人だけに、顧客管理に生かせるCRMツールを中心に、NPO法人向けのプランが用意されているソリューションを探し始めたという。「実際にNPO向けのプランを用意しているものはいくつかありますが、その多くはユーザー数が最大でも50ほどで、クリスマス前後の繁忙期には数百人規模で利用する我々にマッチしたものではなかったのです」と青山氏。

NPO法人チャリティサンタ ITチーム 青山 恭隼様
青山 恭隼様
NPO法人チャリティサンタ ITチーム

そんななか、NPO法人などに対してチームワーク醸成を支援する“チーム応援ライセンス”をサイボウズが発表し、300ユーザーまで利用できることを知ったという。「ライセンス的には我々にとってありがたいものでした。kintone自体シンプルで使いやすそうな印象だったことで、ぜひ使ってみようと考えたのです」と青山氏。ただし、ITに詳しくないメンバーが多くいる各支部において、kintoneの標準機能だけで運用できるかどうかは懐疑的だったという。

そこで現場に展開しやすいプラグインを探したところ、グレープシティが提供するkrewSheetに出会うことになる。「kintoneをベースに使い勝手のいいプラグインとしてkrewSheetを見つけたのですが、初めて見たときは “予想以上にExcelだな”という印象でした。Excelっぽいというよりも、まさにExcelそのもので、以前からExcelを駆使していた各支部のメンバーに対して、利用のハードルを下げることができると考えたのです」と評価したという。一覧画面に直接書き込み可能な別のプラグインもあったが、スプレッドシート形式とはかけ離れており、現場への展開も難しいと判断。

そこで、krewSheetをkintoneの標準的なインターフェースとして実装し、新たな情報管理の基盤として各支部に展開、1か月ほど各現場への移行期間を経て、同法人が求めていた情報基盤としてkintoneおよびkrewSheetを活用することになったのだ。

【効果】kintone利用に不可欠なkrewSheet、krewDataにて工数削減を実現

■ スポットにてkrewシリーズを活用、krewDataによる自動集計で分かりやすい工夫も

現在は、年間を通じて2~30名ほどが業務基盤としてkintoneを活用しており、繁忙期となるクリスマス前後の5か月ほどは500名ほどにまでユーザー数を拡大、繁忙期のタイミングにkrewSheetおよび情報の集計作業に役立つkrewDataを活用するなど、期間限定のスポット契約にてkrewシリーズを運用している。「契約を一時的に停止し、翌年改めて再契約をさせていただいていますが、以前の情報はそのまま残したまま再開できるなど、フレキシブルに使わせていただいています」と青山氏。

具体的に作成したアプリは、依頼情報を管理する“サンタを呼ぶアプリ”をはじめ、ボランティアを管理する“サンタになるアプリ”、各家庭を巡回するグループをマッチングさせるアプリ、応募フォームを設定するアプリ、メールのテンプレートを設定するアプリなど。このなかでユーザー管理や応募結果を表示するアプリのインターフェースとしてkrewSheetを活用しており、権限設定によって自分が所属する支部の情報だけが確認できるようになっている。「年間を通じて使うアプリはkintoneの標準機能だけで作成し、繁忙期に必要なアプリに対してkrewSheetを適用しています」と青山氏は説明する。

概念図
▲ krewSheetが適用されたサンタを呼ぶアプリ条件付き書式により状況が視認しやすい

また、家庭からの依頼やボランティア応募の結果をkrewDataによって集計し、krewSheet上でグラフ表示するなど、直感的に判断できるよう工夫している。「実際の運用では、地域ごとに家庭とボランティアのバランスが重要です。支部ごとに男性女性が何名ずつボランティアとして確保できているのかをkrewDataによって集計し、目標値と実績値の比率を分かりやすく表示しています。また、サンタクロースを呼ぶ場合、通常の応募だけでなく、サンタチケット呼ばれるチケットを経由した申し込み、経済的に厳しい家庭のためのルドルフと呼ばれる基金を通じて応募するなどいくつか方法があり、それぞれ申し込むルートに応じて集計して表示させています」と青山氏。管理するフィールドごとに色分けして表示するだけでなく、応募がキャンセルされた場合はグレーアウトさせるなど、現場に分かりやすく情報が伝わるような工夫も施している。

概念図
▲ krewDataにより目標と実績を自動集計し、結果をkrewSheetで表示
■ 自動集計にて100時間もの工数削減、セキュアな環境づくりにも貢献

従来のExcelライクな操作性が継続できていることで、現場でも違和感なく利用できている状況にあるという。「使い勝手がまさにExcelそのもので、現場からも使いやすいと評判です。しかも、krewSheetはkintone上で使う前提のプラグインで、Excelよりも機能がある程度絞られている。機能がありすぎないところも使いやすいポイントの1つ」と青山氏。

Excelでの運用から脱却できたことで、応募フォームからのデータインポートやメール作成の自動化などさまざまな工数が削減できているだけでなく、krewシリーズを使うことで各種集計業務を自動化し、100時間ほどの工数削減を実現したという。結果として、子どもの笑顔や未来のための活動に時間が割けるようになったことが何よりも大きいと青山氏は力説する。

▲ kintoneとkrewによる情報基盤で事務作業を軽減し、実質的な活動に時間が使えるように
▲ kintoneとkrewによる情報基盤で事務作業を軽減し、実質的な活動に時間が使えるように

支部ごとに管理していたExcelをkintoneにて集約することで、セキュリティリスクの軽減につながっている点も見逃せない。「各支部で属人的に行ってきたExcelの管理工数についても、おそらく年間600時間ほどは削減でき、情報が集約できたことでセキュアな環境で運用できています。そもそもkintoneで基盤が整備できたのは、現場にとって使いやすいkrewSheetがあったおかげ」と青山氏は評価する。

グレープシティに対しては、フローの設計が必要なkrewDataの構築支援など手厚いサポートを評価する。「krewSheetについては特段サポートがなくともすぐに利用できましたが、krewDataについては相談させていただきながら構築しました。単なるアドバイスだけでなく、サンプルのフローなども提供いただくなど、非常に手厚くサポートいただけて感謝しています」と青山氏。ライセンス的にもスポットで活用できるNPOに最適なプランが提供されるなど、柔軟な対応にも評価の声が寄せられている。

■ 複数アプリを連携して情報を集約、krewDashboardでのさらなる可視化にも期待

今後については、現状利用しているアプリの使い勝手を向上させていきながら、新たに管理業務が発生した場合はkintoneにてアプリを作成し、標準機能だけでは十分に実装できないアプリ間の連携などの際にkrewDataなどを駆使するなど、活用の幅を広げていきたいという。「サンタクロースから手紙を届けるサービスに応募いただいた場合、クリスマス当日に家庭へ訪問するボランティアスタッフにその経緯を事前に知らせておく必要があります。そこでkrewDataのバッチ処理を利用し、応募アプリに対して手紙のサービスを利用している家庭かどうかを通知しています。手紙だけでなく似たようなサービスがいくつか存在しているため、家庭からの要望に対してボランティアへ正しく情報が引き継げるよう、krewDataのフローをうまく活用して1つのアプリに情報が集約できるようにしたい」と青山氏。

また、情報の可視化をさらに進めるべく、krewDashboardなどの活用も視野に入れているという。「その年の応募状況などはkrewSheet上のバーグラフで可視化できますが、例えば昨年と比べて応募が順調なのかといった指標で状況判断することも必要です。もし昨年と比べて応募スピードが遅い場合は、追加の募集や別支部から人を手配するなど、早期の対策が可能です。krewDashboardを使ったさらなる可視化についても興味を持っています」と今後について青山氏に語っていただいた。