導入事例

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アミタ株式会社

業種:
その他

部署:
営業・セールス

利用用途:
受発注管理/入出荷連絡/契約書管理

使用製品:
krewSheet/krewDashboard

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事例公開日:2022年2月16日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

拠点ごとに独自進化するExcelを一掃してkintoneアプリ化
krewSheetで業務を標準化してkrewDashboardで見える化を進める

アミタグループは持続可能社会の実現をミッションに掲げて1977年に設立され、SDGsを先取りする事業を45年に渡って行っている。「この世に無駄なものなどない」という信念とともに、企業から大量に出る廃棄物をリサイクルし、天然資源に代わる地上の資源へと生まれ変わらせてきた。創業当時はリサイクルという言葉もなかったので、何でそんなことをするのか、と言われたそうだが、今ではSDGsは世界が取り組む目標となったのだから先見の明と言える。

現在は、サステナビリティ向上を目指す企業・自治体のパートナーとして、長期ビジョンの策定から戦略立案、新規事業開発、現場運営まで、統合的な支援を行っており、その提供メニューの一つとして、廃棄物の100%リサイクルサービスを全国で展開している。

同社では以前、廃棄物リサイクルの入荷・出荷管理を拠点ごとに独自のExcelで行っていた。産業廃棄物の管理には、専用の管理伝票(マニフェスト)の適正な運用が法律で厳格に義務付けられており、拠点ごとの情報を企業全体として統一する作業は大変だった。Excel管理ではファイルが壊れたり、同時編集ができなかったりといった、Excel課題も発生したため、kintoneとkrewSheetを導入しシステム化したとのこと。

今回は、廃棄物リサイクルの入出荷連絡業務でkintoneと「krewSheet」と「krewDashboard」を活用することになった経緯について、コーポレートリレーションチーム マネージャー 中野 大悟氏と高野 啓二氏、インテグレートグループ グループマネージャーである田中 健一氏にお話を伺った。

【課題】拠点ごとに異なるフォーマットのExcelにより受注業務の統一が困難

■ kintone導入によりデジタル化による業務改善意識がうまれていたが…

アミタ株式会社では、営業支援のために採用していた外資系のCRM(顧客管理システム)が、同社の営業スタイルに合わず、うまく活用できないという課題解決のためにkintoneがすでに導入されていた。自社の営業活動にあったシンプルなシステムにしたいということでkintoneが採用されたそうだ。

kintoneの導入後は営業支援用のツールだけではなく、得意先の申請や口座開設といった申請系のワークフロー業務も集約していくなど、kintoneによる業務改善の動きが出始めていたとのこと。そうした中で、廃棄物リサイクルの入荷・出荷管理もkintoneを活用し、全拠点での業務の統一を図ることになった。
中野氏は「営業や受発注などそれぞれの部署がバラバラなツールを使っていたのですが、kintoneが社内に浸透し始め、全部kintoneに載せていこうという流れができたと思います。それで、受発注管理についてもkintoneにしていこうということになりました」と経緯を話す。

コーポレートリレーションチーム マネージャー 中野 大悟様
中野 大悟様
コーポレートリレーションチーム
マネージャー
■ 現場の入力工数を増やさずに、項目数が多いExcelをkintoneに集約できない

同社は国内外6カ所の工場(循環資源製造所)・3カ所のパートナー工場・300ヵ所を超える再資源化ネットワークを持つ。廃棄物のリサイクル依頼が顧客から発生すると、各工場に入荷の連絡を行い、入荷量をトラックスケールにより実測し実績を入力する。リサイクル加工が終わり再利用されるまでの日付の履歴や最終処分場などをマニフェスト(産業廃棄物管理票)に記載しなければならないため、案件が完了されるまで、データの入力更新作業が続く。

入荷予定日と予定数量、実績数量、最終処理日、納品先といった膨大な受注情報は拠点ごとのExcelで管理されていた。コーポレートリレーションチームではこれを1つのExcelに集約していたという。

拠点ごとにExcelが作られていたので、列が増えていたり、項目の順番が変わっていたり、関数のセルに直接入力してしまったりと独自に進化を遂げていて、全体を1つに集約するのにとても手間がかかっていました。」と高野氏は当時を振り返る。

こうしたバラバラのExcelを全拠点で統一した項目にまとめkintoneアプリ化することになったわけだが、毎月数百件のリサイクル依頼が発生し、入力項目も膨大な業務をkintoneで行うには、効率よく入力できるUIを現場に提供する必要があった。

インテグレートグループ グループマネージャー 田中 健一様
田中 健一様
インテグレートグループ
グループマネージャー
拠点ごとに異なるフォーマットのため業務の統一ができず、集約も困難
▲ 拠点ごとに異なるフォーマットのため業務の統一ができず、集約も困難

【導入】現場の使い勝手を保ちながらkintoneでデータを管理できるツールを模索

実際、現場の担当者からは今までのExcelのようにやりたいと強い要望があったそうだ。入荷管理を担当している人たちはExcelの操作性に慣れているので、kintoneでレコードを一つずつ開き、編集ボタンを押し、変更して保存ボタンを押すという操作は手間がかかりすぎるというのだ。

しかし、フォーマットの統一が取れていないうえ、関数が壊れたり、ファイルが重くなったりする課題も顕在化していたため、Excelでの管理を使い続けるわけにはいかない。そこで、kintoneありきでUIをExcelライクにできるソリューションを探したところ、辿り着いたのが「krewSheet」だった。これならばExcel業務をkintone化できると、2018年7月に「krewSheet」を導入することになった。

社内で使うツールの選定を担当する高野氏は「試しに「krewSheet」を使ってみたら、もうこれしかないと思いました。セルにマウスを当てればどんどん入力できて、一気に情報を格納できてしまいます。kintone標準だけでやろうとしたら現場の抵抗があって実現できなかったと思います」とkrewSheetに触れたときの感想を語る。

■ krewSheetにより受注管理をkintoneに集約できたことで全体の統制が取れた

krewSheetの適用により開発されたのが、「入荷連絡・実績管理アプリ」だ。廃棄物のリサイクル処理の入出荷を管理する受注業務で活用しており、取材時点でアプリには10万件を超えるレコードが登録されている。

「入荷連絡・実績管理アプリ」はkintoneのポータルサイトに拠点ごとにアイコンが置かれ、クリックするとkrewSheetが適用された一覧に遷移する。拠点の受注担当者は顧客から廃棄物のリサイクル依頼があると、受注案件として入荷日や廃棄物の品名といったデータを登録する。

画面はkrewSheetにより、従来のExcelのような使い勝手でいつどのような廃棄物が入荷されるのかを一覧で把握し、業務の進捗を更新できる。拠点ごとに別れているように見えるが、アプリは1つですべて同じ画面となっている。

また、krewSheetの条件付き書式を利用し、法律で決められた処理期限に近づくと、セル背景色を赤くするなど進行が遅れているところが一目でわかるように工夫をしている。これにより抜け・漏れをなくしミスを防いでいる。

関連シートには、別アプリとして作成した「最終処分地(アミタの場合はリサイクル製品のユーザー企業の拠点が該当)」や「契約管理」をルックアップで参照できるようにしている。最終処分地は契約書に予め記載しなければならない項目のため、関連レコードで処分方法に適した会社のみを選べるようにしているそうだ。従来のExcel管理では、こうした情報を探すためいくつものExcelを開いて該当する情報を確認していたとのこと。マニフェスト伝票を作成するために必要な情報はすべて入荷連絡アプリで管理しているという。

krewSheetを適用した入荷連絡・実績管理アプリの画面
▲ krewSheetを適用した入荷連絡・実績管理アプリの画面

受注管理をkintoneに集約することで、良い意味で統制が取れてきました。「krewSheet」なしにkintone化はできなかったと思います」と高野氏。

このアプリを触ったユーザーはExcelのように操作できることに驚き、自分の部署で作ったアプリにも「krewSheet」を使いたいと言ってくることがあるそう。そのため、今では様々なアプリに「krewSheet」が入っている。

■ krewDashboardで全体の実績を可視化。現場に経営数値を見るという感覚が生まれた

同社では、「krewDashboard」も導入している。krewSheetで受注データが蓄積されるようになったため、廃棄物リサイクルの入出荷状況を可視化したいと考えたのだ。中野氏はkrewのWebサイトの活用例を見て、導入検討を始めたが、費用対効果の面でハードルがあった。

そこでkintoneの活用が社内に浸透してきたことを根拠に、BIツールを新たに導入するよりも普段使っているkintoneの中でデータを可視化できる利点を経営層に訴求したそうだ。

「現在使っている会計システム側では経営情報の可視化が弱かったので、将来的にkintoneの中で会計の予実管理の可視化までも含めて活用できると提案し、費用対効果としては許容できるという話になりました」と中野氏。

krewDashboardは2021年8月から利用を開始し、現在は約20名の担当者が利用している。実際の「krewDashboard」を見せてもらったところ、リサイクルの入荷実績と昨年対比、そして内訳を大きく見やすく表示していた。営業会議で使っていた資料を参考にしてグラフや詳細のデザインを決めたという。

従来は週に一度、中野氏が毎回30分ほどかけてkintoneのデータをExcelに出力して加工し、メールで関係者に送信していたが、krewDashboardで各種アプリからデータを参照しリアルタイムで可視化したことで、この作業自体がなくなった。作業時間がゼロになったうえ、数字を見るという感覚を現場の担当者が身につけ始めたこともメリットだった。

入荷連絡・実績管理アプリのデータから入荷実績をkrewDashboardで可視化した画面
▲ 入荷連絡・実績管理アプリのデータから入荷実績をkrewDashboardで可視化した画面

【効果】業務の統制が取れたことで拠点が変わっても同じ仕事ができるようになった

krewSheetとkrewDashboardの導入により、拠点ごとに管理方法や業務フローが異なっていた受注管理を統一、可視化までできたことにより、スムーズに全拠点の実績データがkintoneに蓄積していった。

kintoneに入れた情報は毎日CSVで出力し、RPA(Robotic Process Automation)ツールで会計システムに入力しているという。こうした自動化もkrewSheetにより現場担当者がkintoneに日々の実績を入力しやすくできたためだという。

さらに、中野氏は「Excelからkintoneに移行させる大変さはあったものの、業務の標準化が済んだことも大きな導入効果だ」と述べる。

現在、kintoneのユーザー数は約200人で、現在まで作ったアプリは600個ほど。情報システム部門が全社向けのアプリを管理し、部署単位のアプリは部門それぞれで管理している。最近では担当者個人の業務管理用にアプリを作成するケースもあるそうだ。

krewSheetとkrewDashboardの適用により、全社で業務を統一でき可視化にも成功
▲ krewSheetとkrewDashboardの適用により、全社で業務を統一でき可視化にも成功

最後に今後の展望について伺った。

「kintoneでやりたいと思っていた業務はおおむね実現できていて、「krewSheet」は現場の担当者から使いたいとリクエストされるほど浸透しています。「krewDashboard」は現在受注関係しか作っていないので、いろいろと増やしていきたいです」と中野氏。

マーケティングやカスタマーサポートの観点では、「商談パイプラインなどで蓄積した情報の資産化を進めていきます。情報は単なるトランザクションデータではなく、事業の仮説を立てるときに役立つデータです。その情報を活用できる社員を増やしていきます」と田中氏。

「「krewSheet」は多機能で、後でこんな機能があったんだ、と気がつくことがあります。検索パネルについても、当初は別の検索プラグインを入れたりしていました。ルックアップの再取得機能も、業務にフィットする機能を模索する中で気がつきました。現場の使い勝手をより良くするツールとして活用を深めたい」と意欲を見せた。