導入事例

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株式会社プレアデスセブン様

業種:
医療・福祉

利用用途:
経営指標・施設基準の管理

使用製品:
krewData・krewDashboard

株式会社プレアデスセブン様 メインビジュアル

事例公開日:2021年6月3日

※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものです。

医療法人向け経営プラットフォーム「ここりんく」を強力に下支え
病院の経営マネジメントに必須の情報の可視化を支援するkrewDashboard

病院経営に必要な事業計画の策定をはじめ、目標設定や日々の実績把握も含めた計数管理など、事務方が実施している病院経営マネジメント。このマネジメントを円滑に行うべく、電子カルテや医事会計など病院に導入されたさまざまなシステムからデータを抽出し、病院ごとに重要な指標となる情報を可視化することが可能なソリューションとして、株式会社プレアデスセブンではkintoneを基盤とした医療法人向け経営プラットフォーム「ここりんく」を提供している。このなかで経営情報の可視化を円滑に行うために必須の仕組みとしてグレープシティのkintoneプラグイン「krewDashboard」が採用されているが、その経緯について代表取締役 植木 裕一朗氏にお話を伺った。

【課題】医療法人向け経営プラットフォームが必要な理由

病院経営の意思決定に必要な情報を可視化する業務に課題が顕在化

日本には、一般診療所や歯科診療所などを除く8,400ほどの病院があり、総数で5,400ほどの医療法人が存在している。病院を運営していくために欠かせない収益は、国が定めた診療報酬に沿って細分化されており、事務長をはじめとした事務スタッフが中心となり、業務効率化などを通じて経営指標を改善していきながら経営を行っているのが実態だ。具体的には、患者の状態を見極めながら、各専門職種スタッフ1人当たりが、患者に対してどの程度のサービスを提供すると採算ラインに到達するのかを念頭に、メンバーの生産性を最適化していくことが経営マネジメントとして必要になってくる。これは、規模に関わらず、どの病院でも経営サイドの視点として重要な部分だ。

そのため、病院経営の全体を的確に把握して課題を共有し、数字に基づいて業務改善を推進していきたいというニーズは根強い。しかし、診療報酬的な手当のない経営学などに長けた人材を個別に雇うことは難しいのが現状で、多くの病院では人事部や経理部、財務部、病棟の看護師長、リハビリ部門長、薬剤師長などが利用している現場のシステムから、事務スタッフがCSVで情報を収集し、Excelを駆使して手作業で日報や月報などを作成し、経営会議にて意思決定を行っている。この作業は非常に多くの工数を伴うのが現状で、多くの病院がその課題に直面しているといっても過言ではない。

多くの病院が経営改善のためのデータ集計に課題を抱えている
▲ 多くの病院が経営改善のためのデータ集計に課題を抱えている
病院経営指標のPDCAを徹底的にマネジメントする機能が盛り込まれた「ここりんく」

そんな課題解消に役立つのが、電子カルテや医事会計、財務会計、人事給与、リハビリ、介護請求、SPD(Supply Processing and Distribution:院内物品質管理)、勤怠管理など分散したシステムに蓄積された情報を自動的に収集し、病院経営の意思決定を的確かつ迅速に行うことを支援する病院経営改善プラットフォーム「ここりんく」だ。病院の経営コンサルタントとして活躍する植木氏が率いる株式会社プレアデスセブンが提供するソリューションで、診療単価や患者数、そして医療サービス提供の標準化に関連した病院経営指標のPDCAを徹底的にマネジメントする機能が盛り込まれている。また、パッケージソリューションながら、病院が利用するシステムごとに柔軟なカスタマイズを行ったうえで導入する仕組みとなっている。「病院から既存の経営管理帳票を一式いただき、それを我々の方で読み解いたうえで、ここりんく上に実装していきます。既存の電子カルテシステムなどと連携させながら、病院DXの推進をお手伝いしています」と植木氏は説明する。その意味でも、ここりんくは病院ごとの個別システムとして開発、導入していくことになるが、この業務プラットフォームとして採用されているのが、サイボウズが提供するkintoneだ。

ここりんくは院内の医療システムとデータ連携し、経営資料を作成する病院経営改善プラットフォーム
▲ ここりんくは院内の医療システムとデータ連携し、経営資料を作成する病院経営改善プラットフォーム

【選定】kintone標準機能では難しい描画やフィルタリングが大きな魅力に

ローコード開発ツールとしてアジャイル的なアプローチに最適なkintone

ここりんくの強みは、医療現場に精通したコンサルタントが病院ごとに業務のヒアリングを行い、異なるメーカーのシステムにまたがっている情報を1つのプラットフォームに集約可能な基盤を整備すること、そしてローコード開発ツールを用いて最適なコストパフォーマンスにて現場に展開できることだ。ここで開発基盤としてここりんくを下支えしているのがkintoneであり、kintoneに集められた情報を多彩なグラフやチャートで可視化できるkintoneプラグインのkrewDashboardだ

kintoneによって現場に点在するシステム内のデータを集約し、それらをうまく見える化するための仕組みは、当初はJavaScriptを駆使して開発してきたという。しかし、開発そのものの負担が大きいため、効率的に情報の可視化が可能なプラグインがないか検討してきた植木氏。その過程で出会ったのが、グレープシティが提供するkrewDashboardだった。「グラフやチャートを多用するダッシュボードは非常に手間のかかる開発だっただけに、最適なプラグインがないか探していたのです。今では全ての案件にkrewDashboardが導入されており、我々のソリューションに欠かせないものの1つとなっています」と植木氏は説明する。

株式会社プレアデスセブン 代表取締役社長 植木 裕一朗様
植木 裕一朗様
株式会社プレアデスセブン 代表取締役社長
芸術的なExcelでもそのまま再現できるkrewDashboardを高く評価

krewDashboardについては、kintoneが持つ標準機能では難しい高度な機能を備えたグラフ・チャートの描画が可能な点を高く評価する。「自分でも作り込めそうな印象のあるプラグインも存在していますが、krewDashboardと同じ機能を実装するのはかなりヘビーです。初めて採用して以来、全ての案件で使わせてもらっています」と植木氏。グラフとピボットテーブルで複数アプリのデータをダッシュボードとしてリアルタイム表示できるだけでなく、経営指標を確認するときに重宝するスライサーによるフィルタリング機能が柔軟で、時間軸などでのフィルタリングも容易にできる点がkintone標準機能ではできない点だという。

病院によっては、Excelを駆使した高度な帳票を作成しているケースもあり、それをkintoneの標準機能で表現するには限界があるという。「そもそも多くの病院ではExcel慣れしているため、集計時に利用するピポットテーブルのイメージで出せないと勝負になりません。krewDashboardであればまさにイメージ通りの帳票が出力できるため、我々のソリューションには欠かせません」と植木氏。

結果として、病院経営に欠かせない情報を可視化することが可能な環境として、krewDashboardがここりんくのデフォルトツールとして採用されている。

【効果】病院経営に大きな効果を提供「ここりんく」「krewDashboard」の組み合わせ

ここりんくが病院経営の重要な基盤に、可視化のツールとして欠かせないkrewシリーズ

kintoneが基盤となっているここりんくを活用している病院では、複数の部門システムから自動収集した経営指標を一つのプラットフォーム内でタイムリーに可視化および分析報告が可能になるだけでなく、既存の電子カルテシステムが持つDBから情報を参照できるため、これまで取り出せていなかった細かな経営指標が収集でき、膨大な診療データを病院の経営マネジメントに生かすことができるようになっていると好評だ。

また複数の事業所を展開する医療法人では、毎月各施設から膨大な月報が寄せられるが、アナログで集計していた情報をここりんくのプラットフォーム上で自動収集できるようになり、資料づくりの負担軽減に大きく貢献できるようになっているという。「kintoneが基盤となっているため、グループウェアの機能や地域医療の要となる地域連携室に必要な業務アプリも全てここりんく上で実装できている事例も。コミュニケーション機能も充実しており、現場の業務改善にも大きく貢献しています」と植木氏。

以前は事務方がExcelを駆使して経営指標に関連した帳票を手作業で作成していたが、krewDashboardによってレセプトを締めた段階ですぐに数字が把握できるだけでなく、レセプトを締めずとも電子カルテシステムから日々情報を取得して経営マネジメントに生かせる点も導入した病院から高く評価されているポイントだ。

ほかにも、kintoneアプリ間のデータの集計や加工などには、krewDataを活用しており、一部オープンデータなどを組み合わせて帳票作成する際にkrewDataを経由してのデータ加工処理や、DBが異なる医療と介護の情報などを1つの画面に表示させる際の集計処理にkrewDataを活用しているという。

krewDashboardがないとここりんくとは言えない

今では同社が手掛ける全ての案件にkrewDashboardが活用されており、商談の初期段階からkrewDashboardが活躍している状況にあるという。「非常に綺麗にグラフが出せるため、デモンストレーション時の反応はとても良好です。電子カルテシステムではグラフを自由に切り替えることはできませんし、そもそも可視化するグラフすらないのが実態。タブを切り替えながら、病院全体、入院、外来、病棟別、ドクター別といった各種情報がすぐに見える化できることに驚いていただけるほど」と植木氏。

デモのつかみとしても非常に有効な存在となっているkrewDashboardだが、ここまで自由に動かすことができるグラフがなければ商談の成立は難しいとkrewDashboardの重要性について力説する。「表現は難しいですが、ここりんくを車で例えると、krewDashboardはスピードメーターのようなもので、krewDashboardがなければここりんくは完成しませんね」と植木氏は絶賛する。

krewDashboardを活用した診療別外来実績。診療科ごとの実績がひと目で分かる
▲ krewDashboardを活用した診療別外来実績。診療科ごとの実績がひと目で分かる
医業収益
▲ 医業収益
病棟施設基準。krewDashboardのUIを活用し業績に関わる基準値を数値で表したもの
▲ 病棟施設基準。krewDashboardのUIを活用し業績に関わる基準値を数値で表したもの
Excelを駆使して作成される勤務表をkrewSheetで実装したい

今後については、グレープシティが提供するkrewシリーズのなかでもExcelのようなデータ編集操作や高い視認性が確保できるkrewSheetの活用を検討しているという。「医療や介護の現場でよく求められるのが、各スタッフが日々入力、確認する勤務表です。24時間で運営している病院では、看護師の方も3交代制で細かく勤務予定を入力していきますが、krewSheetで程度入力用の一覧画面を作っておけば、Excel感覚で簡単に予定を入力でき、修正も容易です。現場によってはそのまま印刷して使いたいという声もあり、krewSheetで実装することで各現場から重宝されることは間違いありません」と植木氏は期待を寄せている。

勤務表がkrewSheetで実現できれば、kintone内に勤怠実績として蓄積でき、出退勤や残業管理をはじめとした労務管理に、そして最終的には給与計算システムに受け渡すことができるなど、さらに現場の業務効率化にも貢献できるようになる。「レコードごとに編集が必要なkintoneだけでは難しいものの、Excelのように一覧表の形式で入力や修正できるのがkrewSheetの大きな特徴です。ぜひここりんくのなかでも実装していきたい」と植木氏に今後について語っていただいた。